【二級建築士の受験資格】あなたの学歴、実務経験は大丈夫?

目次

「二級建築士の試験を受験したいけど・・・おれって受験資格ある!?」


資格を取りたいと思ったら必ず確認した方が良い受験資格。二級建築士の試験には、受験資格として学歴または実務経験年数の条件が設定されています。 せっかく試験を受けようとしたのに、「受験資格が満たしていないから受験できなかった・・・」とショックを受けないためにも、 事前に受験資格を確認しておきましょう。二級建築士の試験概要や申し込みの手順などもお伝えしますので、是非参考にして下さい。



二級建築士の受験資格/申し込みの前に要確認!

二級建築士の資格は、主に一般住宅などの戸建て住宅程度を規模とした建築物の設計・施工が出来る資格です。 試験を受けるのに年齢制限はなく、20代の若い世代からシニア世代まで幅広い年齢層の方が受験しています。 二級建築士の試験には「学科の試験」と「設計製図の試験」の2種類があり、両方の試験に受かって初めて資格を得ることが出来ます。



ここからは二級建築士の受験資格について具体的に説明していきます 。


二級建築士 受験資格の概要

二級建築士の受験資格を得るには、下記の表のいずれかの条件をクリアしなければなりません。

【二級建築士の受験資格】

建築に関する学歴又は資格等建築実務の経験年数
大学(短期大学を含む)又は高等専門学校おいて、
指定科目を修めて卒業した者
0年
高等学校又は中等教育学校において、
指定科目を修めて卒業した者
卒業後3年以上
その他都道府県知事が特に認める者 建築設備士
(「知事が定める建築士法第15条第三号に該当する者の基準」に適合する者)
0年
所定の年数以上
建築に関する学歴なし7年以上

上記の表を要約すると、二級建築士のおもな受験資格は、下記の3つだと捉えられます。

1)大学(短期大学を含む)又は高等専門学校おいて、指定科目を修めて卒業した者
2)高等学校又は中等教育学校において、指定科目を修めて卒業
⇒ 卒業後に3年以上、建築実務の経験を積んだ者

3)建築に関する学歴なし=建築実務の経験を7年以上積んだ者
※ 建築設備士の資格を持っている方も受験資格がありますが、受験者の割合が少ないので今回は外しております。



二級建築士の試験を受けようとする方のほとんどが、この3つのうちのどれかに当てはまるでしょう。その中でも、特に多くの人が当てはまりそうな受験資格は、1)の「大学(短期大学を含む)又は高等専門学校おいて、指定科目を修めて卒業した者」です。その理由としては、建築の実務経験なしに試験を受けることが出来るからです。


また、建築学科(指定科目)がある短大または専門学校を卒業すれば、高校卒業後に最短で受験資格を得ることが出来ます。 こういった理由などから、1)の受験資格に当てはまる方が特に多いのではないかと考えられるでしょう。



上記の表を見て「該当する受験資格がない」という方は、残念ながら受験資格を満たしていない可能性があります。 「受験資格を得るにはどうすればいいの?」という方のために、下記に二級建築士の受験資格を得るための方法をいくつか記載しておきますので、こちらも併せて参考にして下さい。 「個人的に受験資格を確認したい」という方は建築士試験を運営している建築技術普及センターに問い合わせしてみましょう。


【学生別】

(高校生編)

◎建築とは関係のない高校の普通科に通っている場合
高校を卒業したら建築学科がある短大・専門学校に進学し、指定科目を修めて卒業すると二級建築士の受験資格を最短で得ることが出来ます。このルートの場合、18歳で高校を卒業するとしたら二級建築士の受験資格を得られるのは20歳~21歳頃になるでしょう。


ただし、一級建築士の資格取得まで視野に入れているのであれば、長期的に専門的な知識を学べる大学へ進学する事もオススメです。また、「資格よりも経験を先に身に付けたい」という方は、建築の実務経験を積める会社に就職するという手段もあります。道のりは長いですが、7年以上の経験を積んだ後に二級建築士の資格を取得する方も沢山いますよ。高校を卒業後に7年以上の経験を積む場合は、二級建築士の受験資格を得られるのは25歳~26歳頃になるでしょう。



高校の(指定科目のある)建築科に通っている場合
高校を卒業したら、建築建築学科がある短大・専門学校に進学し、指定科目を修めて卒業すると二級建築士の受験資格を最短で得ることが出来ます。 このルートの場合、18歳で高校を卒業するとしたら二級建築士の受験資格を得られるのは20歳~21歳頃になるでしょう。


受験資格を得るためのその他の選択肢としては、「建築を学べる大学に進学する」、「高校卒業後に就職して3年以上、建築の実務経験を積む」などがあります。高校卒業後に3年以上の経験を積む場合は、二級建築士の受験資格を得られるのは21歳~22歳頃になるでしょう。 建築科(指定科目)のある高校に通っているのであれば、進学するにしろ就職するにしろ、20代前半には二級建築士の受験資格を得ることが出来るでしょう。





(大学生編)

大学の建築とは関係のない学部・学科に通っている場合①
高校の普通科を卒業後、大学の建築とは関係のない学部・学科に進学した方は、最低7年以上の建築実務の経験を積むことで二級建築士の受験資格を得ることが出来ます。大学卒業後に7年以上の経験を積む場合は、二級建築士の受験資格を得られるのは29歳~30歳頃になるでしょう。その他には「建築学部・学科のある大学へ編入する」という方法や、「大学卒業後に、建築学科のある専門学校へ通い直す」という方法もあります。


ただしその場合は入学するために再度試験を受けたり、お金がかかったりとデメリットも大きいです。建築業界では資格よりも経験を重視するという風潮があるので、実務経験を積んでから資格を取る方法をオススメします。



大学の建築とは関係のない学部・学科に通っている場合②
高校の(指定科目のある)建築学科を卒業後、大学の建築とは関係のない学部・学科に進学した方は、最低3年以上の建築実務の経験を積むことで 二級建築士の受験資格を得ることが出来ます。大学を22歳頃に卒業し、建築実務の経験を積める会社に就職して3年以上の経験を積めば、 25歳~26歳頃には二級建築士の受験資格を得ることが出来るのではないでしょうか。


※高校卒業時の取得単位数によって、二級建築士の受験資格を得るために必要な実務経験年数が変わってくるので注意しましょう。



大学・短大の建築学部・学科に通っている場合
指定科目を修めて卒業すれば、二級建築士の受験資格を得ることが出来ます。ただし、取得単位数によって実務経験が必要になる場合がありますので、注意しましょう。一級建築士の資格取得まで目指している方は、二級建築士の資格取得後に数年の実務経験を積まなければなりません。その際は学歴ごとに必要な実務経験年数が異なるので、受験前に必ず確認しておきましょう。指定科目を修めて卒業する場合、短大卒なら20歳~21歳頃、大卒なら22歳~23歳頃に二級建築士の受験資格を得ることが出来るでしょう。




社会人別

(最終学歴が高卒の場合)

◎建築とは関係のない高校の普通科を卒業された方
「最低7年以上の建築の実務経験」が必要です。または「建築学科がある短大・専門学校に入学し、指定科目を修めて卒業する」という方法もあります。


高校の(指定科目のある)建築科を卒業された方
「最低3年以上の建築の実務経験」が必要です。ただし卒業時の取得単位数によって、受験資格を得るために必要な経験年数が異なります。 試験を申し込む際は、念のため卒業した高校などに確認しておきましょう。




(最終学歴が短大卒・大卒の場合)

建築とは関係のない学部・学科を卒業された方
「最低7年以上の建築の実務経験」が必要です。または「建築学科がある短大・専門学校に入学し、指定科目を修めて卒業する」という方法もあります。


短大・大学の建築学部・学科を卒業された方
指定科目を修めて卒業していれば、二級建築士の受験資格を得ることが出来ます。 ただし、取得単位数によって実務経験が必要になる場合がありますので、注意しましょう。



※建築士法の改正(平成20年度11月28日)に伴い、受験資格における「学歴要件」と「実務経験要件」が変更されました。学歴要件は学校の入学年度が、 『平成21年度以降の者』と『平成20年度以降の者』とで要件が異なります。 また実務経験要件は『平成20年度11月28日から』と『平成20年度11月27日まで』とでは要件が異なります。改正前の受験資格については建築技術教育普及センターHPでご確認ください。



建築の実務経験に関して

「この経験って、二級建築士の実務経験要件に該当しますか?」


よくこういった質問をお見かけします。「試験を受けたいけれど、自分の経験が実務経験要件に該当しているのか分からない…」と困っている方もいると思います。 そこで、二級建築士の実務経験要件にはどんなものが当てはまるのか、下記にまとめてみました。


【実務経験として認められるもの】

~設計・工事監理に必要な知識・能力を得られる業務~
◎建築物の設計に関する業務
(例)空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、その他の設計/プラント関係(建築物に係る業務に限る)の設計など ◎建築物の工事監理に関する業務
◎建築工事の指導監督に関する業務
◎「建築一式工事」、「大工工事」、「建築設備の設計工事」の施工技術上の管理に関する業務
◎建築物の耐震診断に関する業務 など



【こんな経験は当てはまりません】

◎単なる建築労務者としての実務(土木・設計事務所で写図のみに従事していた場合)
◎単なる庶務・会計などの業務
◎住宅の営業経験など



※具体的に知りたい方は建築技術教育普及センターHP 『実務経験要件』をご覧ください。


※建築士法改正に伴い、実務経験要件は『平成20年度11月28日から』から『平成20年度11月27日まで』 とでは要件が異なりますのでご注意下さい。詳しくは建築技術教育普及センター『実務経験に該当する例(新旧対照表)』をご覧ください。



二級建築士の受験資格についてご不明な点や最新情報を確認したい場合は、 試験を運営している建築技術教育普及センターもしくは各都道府県建築士会にお問い合わせ下さい。


【問い合わせ先】
建築技術教育普及センター 本部

TEL03-6261-3310

公益財団法人 建築技術教育普及センター本部・各支部
各都道府県建築士会


受験資格のQ&A

二級建築士の受験資格についてよく聞かれる質問にお答えします。


Q.年齢制限はありますか?
ありません。20代の若い世代からシニア世代まで幅広い年齢層の方が受験しています。


Q.建築施工管理技士の資格を持っていると優遇されるものはありますか?
ありません。


Q.二級建築士の資格をとるメリットは何ですか?
二級建築士の資格をとるメリットは、 自分の技術力を証明する武器を持てる事です。そのため普段の仕事だけでなく、転職活動をする際にも有利になるでしょう。


Q.最終学歴が中卒なのですが、二級建築士の受験資格はありますか?<
中卒の場合は受験資格の『建築に関する学歴なし』に該当するので、建築実務経験を7年以上積めば受験資格を得ることが出来ます。

Q.やっぱり大学を出ていないと不利ですか?
いいえ、そんなことはありません。資格を取得するという上では、大学を出ていなくても受験資格を得ることが出来るので不利ではありません。ただし、一級建築士の資格取得まで視野に入れている方は、長期的に専門的な知識を学べる大学へ進学するのがおすすめです。また企業に就職する際、大手企業を狙うほど学歴を重視されやすくなるので、大卒の方が就職には有利になると考えられます。




直近の試験日はいつ?

二級建築士の試験は年に1回各都道府県で実施されています。 例年、受験申し込みの受付が開始されるのは4月頃で、「学科の試験」が7月、「設計製図の試験」が9月に行われています。 H31年度の試験日程を例にすると下記のようなスケジュールです。


▽H31年度の二級建築士 試験日程
【受験申し込み】
(初受験の方 )
4月18日(木)~4月22日(月)
(過去に受験したことがある方)
郵送による受付:4月1日(月)~4月15日(月)
インターネットによる受付:4月8日(月)~4月15日(月)

【受験票の発送】 6月14日(金)頃
【学科の試験の実施】 7月7日(日)/合格発表 : 8月27日(火)
【設計製図の試験の実施】 9月15日(日)/合格発表 : 12月5日(木)


試験は年に1回しかありませんので、受験しようと思ったら試験日程を随時確認が必要です。 また「申し込みには間に合うけれど、勉強期間が足りないから落ちるかも…」と受験を迷っている方は、 試験の雰囲気を掴むためにも1回申し込んでみるのがいいでしょう。年に1度きりのせっかくのチャンスなので、無駄にしては勿体ないです。 万が一試験に落ちたとしても、1度経験したことから学ぶことはたくさんあると思いますよ!




二級建築士の試験概要(試験範囲・試験時間・試験の難易度)

ここで、二級建築士の試験概要について軽く触れておきたいと思います。実際に試験を受けるとなったとき、少しでもイメージが湧きやすくなるように、 試験範囲・試験時間・試験の難易度などを下記にまとめてみました。是非参考にして下さい。


▽二級建築士の試験概要
二級建築士の試験は「学科の試験」と「設計製図の試験」の2種類があり、両方の試験に受かって初めて資格を得ることが出来ます。 なお、学科の試験を合格しないと設計製図の試験は受験する事が出来ません。 また「学科は合格したけれど設計製図は不合格だった」という方は、向こう2年間の学科の試験が免除されます。 そのため翌年と翌々年の試験は、設計製図の試験のみを受験すればOKです。


二級建築士の試験範囲・試験時間は下記の表でご確認ください。

試験の区分出題形式出題科目出題数試験時間
学科の試験五肢択一式建築計画
建築法規
25問
25問
計3時間
建築構造
建築施工
25問
25問
計3時間
設計製図の試験あらかじめ公表する課題の
建築物についての設計図書の作成
設計製図1課題計5時間

▽二級建築士の難易度
二級建築士の試験の合格率は20%台で、なかなか難しい試験だと言えます。


建築技術教育普及センター統計データによると、H25年~H29年までの学科の平均合格率は35.04%で、 設計製図は53.72%です。全体の合格率は20%台と低く感じますが、「しっかり勉強すれば合格を狙える試験」」とよく言われています。 合格するためには、勉強の仕方・勉強時間をどれだけ設けられるかがポイントになるでしょう。




受験申し込み方法 <スムーズに手続きするための手順>

二級建築士の受験費用は下記の通りです。(2018年度時点)
◇二級建築士 受験費用 : 17,700円


【受験の申込書の取得方法】

受験申込書を入手する方法は『郵送によって入手する方法』と『受付窓口で入手する方法』の2パターンがあります。


【郵送によって入手する場】
まず建築技術教育普及センターのHPの二級建築士試験 『郵送による受験申込書の配布』にアクセスしましょう。そのページ内に受験申込書の請求受付フォームがあるので、手順に沿って申請します。受験申込書の郵送費用については請求者の負担となります。詳細は建築技術教育普及センターのHPでご確認ください。


【受付窓口で入手する方法】
受験申込書は建築技術教育普及センターの各支社の窓口でも入手することが出来ます。 配布場所に関しては、建築技術教育普及センターのHPの『受験窓口における受験申込書の配布』のページで確認できます。


上記2パターンの申請方法の他、インターネットによる受験申し込みの方法もあります。ただし、二級建築士の試験をはじめて受験する方は、インターネットによる申し込みは出来ませんのでご注意ください。詳しい申請方法については建築技術教育普及センターのHPの『インターネットによる受付の申込手順と注意事項』のページでご確認ください。



【受験申し込みを行う際に必要な書類】

必ず用意するものとして、
(1)受験申込書
(2)振替払受付証明書
(3)写真2枚
が必要です。その他、受験経験や受験資格区分によって提出書類が異なるので、 建築技術教育普及センターのHP等で随時ご確認ください。



【二級建築士 試験会場の確認方法】
二級建築士の試験会場は、建築技術教育普及センターのHP『二級建築士試験場』のページで確認できます。「学科の試験」、「設計製図の試験」ごとに試験会場が表記されていますので、随時ご確認ください。



二級建築士の受験資格についてご不明な点や最新情報を確認したい場合は、試験を運営している 建築技術教育普及センターもしくは各都道府県建築士会にお問い合わせ下さい。


【問い合わせ先】
建築技術教育普及センター 本部

TEL03-6261-3310

公益財団法人 建築技術教育普及センター本部・各支部

各都道府県建築士会


まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。今回は二級建築士の受験資格についてお伝えしてきました。
この記事で読んだ情報が、これから二級建築士の試験を受けようと思っている方のお役に立てば嬉しいです。