施工管理技士補とはどんな資格?|技術検定の試験情報や合格率も

目次

こんにちは、建設業に特化した求人サイト・転職エージェントの「施工管理求人.com」です。


施工管理技士補って、どんな資格?」「仕事内容は?」
施工管理や、工事の現場監督などの仕事に興味がある方にとって、これらは気になる点ですよね。
また、「施工管理技士は知っているけれど、施工管理技士補は聞きなれない……」という方も多いのではないでしょうか。


そこでこの記事では、施工管理技士補に興味を持っている方向けに、資格の詳細・取得メリット・技術検定情報などについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。


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制度改正で新設された「施工管理技士補」

施工管理技士補は、建設業法の改正に伴う技術検定制度の変更で、これまでの施工管理技士に次ぐ資格として新設されました。
そのため、まだ馴染みが薄いともいえる施工管理技士補ですが、建設分野での活躍を目指す方にとって、今後注目の資格となりそうです。以下で詳しく見ていきましょう。


施工管理技士補の資格制度はいつから始まった?

建設業法(第27条関係)改正に伴い、令和3年4月1日に施工管理の技術検定制度が変更されました。これにより、施工管理技士補の資格が誕生しました。


施工管理技術検定は7種目、さらにそれぞれ1級と2級の区分があり、旧制度では「学科試験」と「実地試験」の両方に合格しなければ、資格を取得することができませんでした。


●令和2年度まで

1級 学科試験 ⇒ 実地試験 ⇒ 1級施工管理技士
2級 学科試験 ⇒ 実地試験 ⇒ 2級施工管理技士

●令和3年度から

1級 第一次検定 ⇒ 1級施工管理技士補 ⇒ 第二次検定 ⇒ 1級施工管理技士
2級 第一次検定 ⇒ 2級施工管理技士補 ⇒ 第二次検定 ⇒ 2級施工管理技士

令和3年4月1日以降の新制度では、上記表の通り「学科試験」は「第一次検定」「実地試験」は「第二次検定」へ名称が変更となり、その第一次検定に合格すると「(1・2)級(任意の種目)施工管理技士補」の称号を得ることができるようになりました。


具体例として、検定種目は土木、級は1級を選択し、第一次検定に合格した場合、「1級土木施工管理技士補」となります。


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施工管理技士補が新設された理由は?

現在、建設業界では、担い手の確保が大きな課題となっています。


建設業に対する社会的な需要は、東京2020オリンピック・パラリンピックの後も続きます。
近い将来では2025年の大阪・関西万博関連の工事、2020年12月に閣議決定された「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に伴う調査・設計・施工業務の発注が増えることが見込まれます。


インフラ維持管理や災害対応の担い手などとしての役割も含め、これからも建設業の機能を維持していくためには、十分な担い手確保が必要です。


しかし現状、業界人口は減り続けています。
10年後には、現在の業界人口の4分の1程度を占めている60歳以上の大量離職が見込まれますが、それを補う20代30代の若手入職者の数は十分ではありません(総務省「労働力調査」(R1年平均)を元に国土交通省にて推計(令和2年9月))。


この担い手不足解消のための法改正(「新・担い手3法」)のひとつとして、技術検定制度が見直され、新しく誕生したのが「施工管理技士補」というわけです。


「新・担い手3法」とは?

建設業の担い手の中長期的な育成・確保を目的として、令和元年に国会で可決されたのが「新・担い手3法」です。「新・担い手3法」は、建設業に関係する3つの法律の改正法をまとめた呼び方です。


■公共工事品質確保促進法(品確法)
■建設業法
■公共工事入札契約適正化法(入契法)


以上3つの法改正により、建設業の「働き方改革」「生産性の向上」「調査・設計の品質確保」「持続可能な事業環境の確保」の推進を目指します。

※参考:国土交通省「新・担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)について


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施工管理技士補新設でどう変わる?

施工管理技士補の新設により、監理技術者不足という問題の改善が見込まれます。


前提として、すべての建設業者は、各工事現場に主任技術者や監理技術者を配置しなければなりません(建設業法第26条)。

■主任技術者
元請けか下請けかによらず、すべての工事現場に配置する必要があり、その現場における施工の技術上の管理をつかさどる技術者。


学歴・資格要件は工事の種類により様々だが、当該工事の種目に関する1級もしくは2級施工管理技士の資格があればなることができる。


■監理技術者
元請け工事かつ、下請けに出す合計金額が税込4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上となる場合、主任技術者に代えて配置する必要があり、より高度に工事全体を統括する技術者。


学歴・資格要件は工事の種類により様々だが、当該工事の種目に関する1級施工管理技士の資格があればなることができる。


●技術検定制度 見直し前

以前の制度では、監理技術者を各工事現場に専任で配置する必要があり、他の現場と兼任させることは認められていませんでした。


●技術検定制度 見直し後

施工管理技士補が新設されたことで、監理技術者の専任の義務が緩和されました。

主任技術者資格を持ち合わせた1級施工管理技士補を「監理技術者補佐」として専任で配置すれば、監理技術者は2つの現場を兼任できるようになったのです(兼務する監理技術者は特例監理技術者と呼ばれます)。これにより、これまでの監理技術者不足という問題の改善が期待されます。


また、資格の間口を広げて若手人材の活躍フィールドを増やすことで、モチベーションアップや定着にもつながるのではないかと考えられています。


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施工管理技士補とはどんな資格か

施工管理技士補は何の業務ができる?

主任技術者資格を持ち合わせた1級施工管理技士補は、監理技術者補佐(監理技術者の職務を補佐する者として工事現場に専任で置かれる技術者)になることができます。


監理技術者補佐は、特例監理技術者(複数工事を兼務する監理技術者)の適切な指導監督を受けながら、「施工計画の作成」「工程管理」「品質管理」など、監理技術者に求められる職務の補佐業務を行います。


一方、2級施工管理技士補については、法律上「何を行える」といった明確な指定はありません。
しかし、2級施工管理技士補がいる企業が、入札において有利になる場合があります。


そもそも、企業に所属する有資格者(施工管理技士など)が、CPD単位(各協会認定の継続教育プログラム受講で得られる単位)を取得した場合、その単位に応じて、所属企業の経営事項審査の評価が高くなるという仕組みが、従来からあります。
そして、今回の施工管理技士補新設に合わせて、この仕組みの対象となる資格に、2級施工管理技士補が追加されました。


これが何を意味するかというと、CPD単位を取得した2級施工管理技士補がいることで、企業が競争入札に参加する際の評価点が高くなり、競合との競争で有利になる可能性があるということです。
企業にとっても、技術者にとっても、重要な資格であると言えますね。


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施工管理技士補の取得メリットは?

主任技術者資格を持った方が1級施工管理技士補を取得することで、ひとつ前の「施工管理技士補は何の業務ができる?」でも述べたとおり、監理技術者補佐として活躍できるようになります。
つまり、より責任のある仕事を任せてもらえて、実績を積むことができるというメリットがあります。


特に、監理技術者の人数は業界全体として不足しているため、監理技術者補佐になれるという点は、多くの建設業者において重宝されるでしょう。


また、2級施工管理技士補取得は、現職の方のキャリアアップはもちろんのこと、現在学生の方にも就職活動において有利になるというメリットがあります。


2級施工管理技士補は実務経験を問わず、第一次検定のみ合格すれば取得できるため、17歳以上であれば高校在学中でも資格取得が可能です。そのため、将来の進路として建設業界で活躍することを考えている場合は、ぜひ受験を検討したい資格です。


また、1級・2級施工管理技士補に共通して言える取得メリットとして、転職時に有利になる資格手当を設けている企業が多いという点も、見逃せないポイントではないでしょうか(手当の詳細は各企業にご確認ください)。
建設業界での転職をお考えの際は、建設業界に特化した求人サイト「施工管理求人.com」をぜひ活用してみてください。


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施工管理技士補の技術検定試験について

施工管理技士補の受験資格や試験内容は?

施工管理技士補になるためには、施工管理技術検定の7種目のうち、選択した種目の1級もしくは2級の第一次検定を受験し、合格する必要があります。


●受験資格

2級の第一次検定については、試験実施年度において満17歳以上となる方は誰でも受験可能です。
例えば、令和3年度の場合は、生年月日が平成17年4月1日以前の方が対象となります。


1級の第一次検定については、技術検定制度の改正以降、2級の第二次検定合格者(2級施工管理技士)であれば、実務経験を問わずすぐに受験可能です。
ただし、2級施工管理技士を取得せずに受験する場合は、それぞれの種目で決められている学歴および実務経験年数を満たす必要があります。詳しくは、以下の記事をご確認ください。



●試験内容

1級・2級とも、第一次検定は、4~5択のマークシート形式の問題が出題されます。


1級の第一次検定では、監理技術者補佐として、施工管理を適確に行うために必要な知識および応用能力を有するかを問われます。
制度見直し前の学科試験で問われていた知識問題を基本に、実地試験で問われていた能力問題の一部が追加されました。


2級の第一次検定では、施工管理を適確に行うために必要な基礎的な知識および能力を有するかを問われます。
制度見直し前の学科試験で問われていた知識問題を基本に、 実地試験で問われていた能力問題の一部が追加されました。


過去の試験問題等は、下の表に記載の各指定試験機関ホームページに掲載されていますので、参考にしてみてくださいね。

検定種目 指定試験機関ホームページ
土木施工管理
(1級・2級)
(一財)全国建設研修センター
https://www.jctc.jp/
建築施工管理
(1級・2級)
(一財)建設業振興基金
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/
電気工事施工管理
(1級・2級)
(一財)建設業振興基金
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/
管工事施工管理
(1級・2級)
(一財)全国建設研修センター
https://www.jctc.jp/
造園施工管理
(1級・2級)
(一財)全国建設研修センター
https://www.jctc.jp/
建設機械施工管理
(1級・2級)
(一社)日本建設機械施工協会
https://jcmanet.or.jp/
電気通信工事施工管理
(1級・2級)
(一財)全国建設研修センター
https://www.jctc.jp/

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施工管理技士補の合格ラインは?

いざ勉強を始めるときに気になるのが、第一次検定の合格ラインですよね。


令和3年度技術検定の第一次検定については、1級・2級とも、得点が60%以上であることが合格基準です。


ただし1級については、全体の得点が60%以上であることに加え、部分的な基準も併せて設定されている場合が多いため、注意が必要です。詳細は下の表をご確認ください。


第一次検定の合格基準(1級)

土木施工管理 全体の得点が60%以上 かつ 施工管理法(応用能力)の得点が60%以上
建築施工管理 全体の得点が60%以上 かつ 施工管理法(応用能力)の得点が60%以上
電気工事施工管理 全体の得点が60%以上 かつ 施工管理法(応用能力)の得点が50%以上
管工事施工管理 全体の得点が60%以上 かつ 施工管理法(応用能力)の得点が50%以上
造園施工管理 全体の得点が60%以上 かつ 施工管理法(応用能力)の得点が50%以上
建設機械施工管理 全体の得点が60%以上
電気通信工事施工管理 全体の得点が60%以上 かつ 施工管理法(応用能力)の得点が40%以上

※参考:国土交通省「令和3年度技術検定の合格基準について(PDF形式)


施工管理技士補の合格率は?

技術検定制度の見直し後、初めて実施された令和3年度の技術検定について、第一次検定の合格率および人数は、以下の表のとおりです。
種目によってばらつきはありますが、今後受験を考えている方にとって、ひとつの指標となりそうです。


令和3年度 第一次検定の合格率

検定種目 1級
(合格者数/受験者数)
2級
(合格者数/受験者数)
土木施工管理 60.6%
(22,851人/37,726人)
70.3%
(10,229人/14,557人)
建築施工管理 36.0%
(8,025人/22,277人)
37.9%
(4,952人/13,074人)
電気工事施工管理 53.3%
(7,993人/15,001人)
60.3%
(2,235人/3,706人)
管工事施工管理 24.0%
(3,792人/15,827人)
56.0%
(2,529人/4,518人)
造園施工管理 35.9%
(1,080人/3,008人)
52.2%
(812人/1,555人)
建設機械施工管理 26.6%
(621人/2,337人)
54.7%
(3,970人/7,264人)
電気通信工事施工管理 58.6%
(4,730人/8,076人)
87.4%
(1,747人/1,998人)

※参考:
国土交通省「令和3年度1級土木施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表~初の1級技士補が誕生!~
国土交通省「令和3年度1級建築・電気工事施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表~初の1級技士補が誕生!~
国土交通省「令和3年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表~初の1級技士補が誕生!~
国土交通省「令和3年度建設機械施工管理1級、2級第一次検定合格者の発表について
国土交通省「令和3年度2級技術検定「第一次検定(前期)」※合格者の発表~初の2級技士補が誕生!~


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施工管理技士補から施工管理技士になるには

施工管理技士補から施工管理技士になるためには、1級・2級とも、それぞれの級の第二次検定を受験して合格する必要があります。


施工管理技術検定制度の変更点は?

大きな変更点は、施工管理技士補が第二次検定を受験するにあたり、第一次検定の免除期間が無期限になった点です。


技術検定制度見直し前は、学科試験に合格しても実地試験が不合格だった場合、学科試験が免除されるのは翌年まででした。そのため、翌年に合格できない場合、翌々年以降は再び学科試験から受験する必要がありました。


しかし、令和3年度以降、第一次検定合格の資格は無期限有効となったため、施工管理技士補から施工管理技士になるには、第二次検定のみを追加で受ければよいことになりました。


ただし、制度見直し前の学科試験合格者が、令和3年度以降の第二次検定を受験する場合、従来の学科試験の免除期間内に限り、第一次検定が免除され第二次検定から受験することが可能です。


施工管理技士の受験資格や試験内容は?

第二次検定の受験には、各種目で設定されている実務経験年数が必要です。実務経験の内容および必要な年数については、種目ごとに以下の記事で詳しく解説していますので、ご確認ください。



施工管理技士の試験概要および取得メリット等については、以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてみてくださいね。


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まとめ

今回は、令和3年度新設の「施工管理技士補」について、資格概要や試験情報をご紹介しました。


施工管理技士補は、業界内でのステップアップや、新しく建設業界へのチャレンジを目指す方にとって、比較的取得を目指しやすい資格です。施工管理の知識を活かして、あなたの希望に合ったキャリアを実現してくださいね


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