令和2年 2級土木施工管理技士
第10回
【種別:薬液注入】
次の各問いには、4通りの答えが書いてある。
それぞれの問いに対して答えを1つ選びなさい。
注入目的に応じた注入材の選定に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1) 砂質土の地盤を全体的に強化したい場合、浸透性に優れた溶液型の注入材を選定する。
(2) 砂質土を対象として止水を行う場合、浸透性の低い懸濁液型の注入材を選定する。
(3) 地下水に流れがあり注入材が流失希釈されて効果が低下するおそれのある場合、ゲルタイムの長い溶液型の注入材を選定する。
(4) 地盤中の空げきや構造物と地盤の間に生じる空げきの充てんを目的とする場合、浸透性に優れた溶液型の注入材を選定する。
地下水位低下工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 地下水位低下工法を用いる場合は、地下水位が高く、地盤が不安定で掘削作業が困難な場合に採用され、一般的にディープウェル工法とウェルポイント工法が用いられる。
(2) 地下水位低下工法を用いる場合は、対象とする砂層中に連続した透水層があると目的とする水位低下の効果が得られないこともあるので、事前に透水層の有無を確認する。
(3) ディープウェル工法は、井戸を掘削底面以下まで掘り下げ、重力によって地下水を集水してポンプで揚水するため、透水係数が小さくなると重力の作用のみでは地下水の集水が困難となる。
(4) ウェルポイント工法は、透水係数が大きい砂層から小さい砂質シルト層まで広範囲の地盤に適用が可能である。
二重管ストレーナー工法(複相型)の施工手順に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 削孔は、削孔水を利用して、所定深度まで行う。
(2) 一次注入は、削孔完了後、緩結性薬液に切り替え、注入管周囲のシール及び粗詰め注入を行う。
(3) 二次注入は、一次注入と同じステップで、中結から緩結性薬液による浸透注入を行う。
(4) 注入完了は、ステップアップしながら一次注入、二次注入の手順を繰り返し、所定改良区間の注入を行う。
水ガラス系薬液の硬化剤の種類と特徴に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1) 溶液型硬化剤は粒子を含まないもので、主として粘土層での割裂注入に用いられる。
(2) 溶液型の無機系硬化剤で現在多く使われているのは、グリオキザールである。
(3) 懸濁型硬化剤を用いた薬液は、主として砂層での浸透注入に用いられる。
(4) 懸濁型硬化剤は、水ガラスに粒子のある硬化剤を反応させて固化させる。
土の粒度試験における土質材料名と粒度試験の手順に関する次の組合せのうち、適当でないものはどれか。
(1)
[土質材料名]礫
[粒度試験の手順]ふるい分け → ふるい分析(2)
[土質材料名]砂
[粒度試験の手順]ふるい分け → 沈降分析 → ふるい分析(3)
[土質材料名]シルト
[粒度試験の手順]ふるい分け → 沈降分析 → ふるい分析(4)
[土質材料名]粘土
[粒度試験の手順]ふるい分け → 沈降分析
土留め壁を用いて掘削を行う場合の掘削底面の安定に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) パイピングは、土中の浸透水によって水みちができることによって生じる土粒子の移動現象をいう。
(2) ボイリングは、粘性土地盤において掘削底面から水と土砂が湧き出して掘削底面下の地盤が受働抵抗を失い、土留め壁の安定を損ねる現象をいう。
(3) ヒービングは、軟らかい粘性土地盤を掘削する場合に、掘削底面下の土の強度不足から掘削底面が隆起し、土留め壁の背面で大きな地表面沈下が生じる現象をいう。
(4) 盤ぶくれは、主に粘性土地盤などの難透水性地盤の下に被圧帯水層がある地盤を掘削する場合に、被圧地下水によって掘削底面が膨れ上がる現象をいう。
土の透水係数に影響する因子に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 土粒子径が大きくなるほど、透水係数は大きくなる。
(2) 土粒子の間げきが大きいほど、透水係数は大きくなる。
(3) 土の飽和度が小さくなるほど、透水係数は小さくなる。
(4) 浸透水の温度が高いほど、透水係数は小さくなる。
軟弱地盤対策工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) サンドコンパクションパイル工法は、砂質土地盤内のみに適用し鋼管を貫入して管内に砂などを投入し、振動により締め固めた砂杭を地盤中に造成する工法である。
(2) 表層混合処理工法は、表層部分の軟弱なシルト・粘土とセメントや石灰などの固化材とをかくはん混合により改良し、地盤の安定やトラフィカビリティーの改善などをはかる工法である。
(3) 深層混合処理工法は、原位置で地盤の深部まで石灰やセメントなどの化学的安定材を添加し、改良対象土と強制的にかくはん混合して強固な地盤を造成する工法である。
(4) 薬液注入工法は、土の間げきに注入材を注入することによって地盤を改良し、地盤の透水性の減少、強度増加及び液状化防止などをはかる工法である。
薬液注入に用いる水ガラスの特徴に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1) 水ガラスは、けい酸カルシウムと呼ばれる化学物質の俗称である。
(2) 水ガラスは,結晶性のものは少なく、一般的には溶液タイプである。
(3) 薬液注入に用いられる水ガラスは、1号水ガラスを使用するものが多い。
(4) 水ガラスは、薬液注入用に開発された特殊な材料である。
シールド工法において発進部の地山の安定をはかる対策などの補助工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 仮壁切削工法は、仮壁を設置しシールドで直接切削し発進する工法で、発進又は到達のための薬液注入などの補助工法を最小限にすることができる。
(2) 薬液注入工法は、水ガラス系の注入材を地盤中に圧入し、地山の間げきや割れ目に浸透させ止水性を高め、脈状注入による土の圧密効果などにより強度増加を期待するものである。
(3) 高圧噴射かくはん工法は、薬液注入工法に比べ均質な改良体の造成が可能であるが、適用地盤の制約が多いという特徴がある。
(4) 凍結工法は、地盤の間げき水を氷結させることによって地盤を一時的に固結させるが、粘性土地盤などでは凍結膨張と解凍による周辺地盤への影響があるので注意が必要である。
薬液注入における注入量の算定に用いる標準的な注入率に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 二重管ダブルパッカー工法による砂質土の注入率は、50%以上である。
(2) 二重管ストレーナー工法による粘性土の注入率は、30%以上である。
(3) 二重管ストレーナー工法による砂質土の注入率は、35%以上である。
(4) 二重管ダブルパッカー工法による粘性土と砂質土との互層の注入率は、30%以上である。