平成26年 1級土木施工管理技士
第3回
【問題A(選択問題)】
次の各問いには、4通りの答えが書いてある。
それぞれの問いに対して答えを1つ選びなさい。
道路のアスファルト舗装における路床の安定処理の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 安定材を散布する場合は、散布に先立って現状路床の不陸整正や、必要に応じて仮排水溝の設置などを行う。
(2) 安定材の混合は、散布終了後に適切な混合機械を用いて所定の深さまで混合し、混合中は深さの確認を行い、混合むらが生じた場合は再混合する。
(3) 安定材として粒状の生石灰を用いる場合には、1回目の混合が終了したのち仮転圧し生石灰の消化を促進するため、転圧後速やかに再混合を行う。
(4) 散布及び混合に際して粉塵対策を施す必要がある場合には、防塵型の安定材を用いたり、シートの設置などの対策をとる。
河川護岸に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) すり付け護岸は、屈とう性があり、かつ、表面形状に凹凸のある連節ブロックやかご工などが適している。
(2) 石張り(積み)の護岸工では、布積みと谷積みがあるが、一般には強度の強い谷積みが用いられる。
(3) コンクリート張工に用いるコンクリートは、スランプを大きくしてコンクリートの流動化をはかる。
(4) 護岸肩部の洗掘防止には、護岸の天端に水平折り返し(天端工)を設け、折返しの終端には巻止めコンクリートを設ける。
柔構造樋門の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) キャンバー盛土の施工は、キャンバー盛土下端付近まで掘削し、掘削した土をそのまま再利用して盛土しなければならない。
(2) 函体の底版下に空洞が発生した場合、グラウトによって空洞を充てんすることが有効である。
(3) 床付け面は、開削による荷重の除去に伴って緩むことが多いため、乱さないで施工すると共に転圧によって締め固めることが好ましい。
(4) 樋門本体の沈下形状を設計で想定した沈下形状に近づけるためには、盛土を函軸に沿って水平に盛り上げる必要がある。
鉄筋コンクリート構造物の鉄筋組立に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 継足しのために構造物から長時間大気にさらされ露出させておく鉄筋は、セメントペーストや高分子材料の皮膜で包み保護を行う。
(2) いったん曲げ加工した鉄筋の曲げ戻しは行わないことを原則とし、やむを得ず曲げ戻しを行う場合は、曲げ及び曲げ戻しをできるだけ大きな半径で行うか、加工部の鉄筋温度が900〜1000℃で加熱加工する。
(3) 鉄筋のかぶりを確保するための型枠に接するスペーサは、鉄筋と同等以上の品質を有する鋼製スペーサを使用することを原則とする。
(4) 床版で1m²当たり4個のスペーサを使用する場合は、スペーサの配置位置は50cm間隔で千鳥に配置するのが一般的である。
地すべり防止工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 排土工は、地すべりの推力を減少させることを目的としており、排土は地すべりの頭部域において行われ、末端域では行わない。
(2) 排土工の施工は、斜面上部より下部に向って行うのを原則としており、上部斜面の地塊を下部に向って押し出し、これを排除する方法が取られる。
(3) 盛土工は、すべり面が円弧形状の場合に効果が大きく、末端域の地塊の厚さが頭部域の地塊の厚さに比較して大きい場合に効果が特に大きい。
(4) 盛土工は、地すべり末端での地下水の浸出域や浅部の透水層を遮断できる範囲に施工することにより、土塊中の間隙水圧が増大し、抑制効果が大きくなる。
コンクリート構造物の補強工法に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 上面増厚工法での鋼繊維補強コンクリートを打ち継ぐ場合、原則として既設コンクリート表面は湿潤状態とするのが望ましい。
(2) 連続繊維シート工法での含浸接着樹脂は、シート繊維に含浸させ硬化させて各々の繊維を一体化しシート全体が均一に外力を受けるようにする。
(3) 連続繊維シート工法の下地処理工は、コンクリート面の劣化層を取り除き、シートの接着・密着性を確保するため不陸や突起は取り除き平坦にする。
(4) 上面増厚工法の増厚コンクリートの最小厚は、粗骨材の最大寸法、施工精度、乾燥収縮の影響などを考慮して決める。
急傾斜地の崩壊防止工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 待受け式コンクリート擁壁は、斜面脚部から離して設置した擁壁で崩壊土砂を待ち受ける工法であるため、ポケット容量が不足する場合は地山を切土して十分な容量を確保する。
(2) 切土法面の小段は、標準として直高5〜10m間隔とするが地質の変化に応じて設置し、幅は1〜2mを標準とする。
(3) 法肩排水路は、斜面最上部などの維持管理が行き届きにくい位置にある場合が多いうえ、越水が生じると斜面の安定に及ぼす影響が大きいため、水路断面を想定流量に対して十分大きくする。
(4) コンクリート張工は、急峻な斜面で施工するため、切土あるいは表面整正後の斜面を長期間風雨にさらすことのないよう、切土工と同様に長区間の施工は避ける。
耐候性鋼材に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 耐候性鋼材は、鋼材に適量の合金元素を添加することで、鋼材表面に緻密なさび層を形成させ、これが鋼材表面を保護することで以降のさびの進展が抑制される。
(2) 耐候性鋼材は、その表面に保護性さびが形成されるまでの期間はさび汁が生じるため、初期のさびの生成抑制や保護性さびの生成促進を目的とした表面処理を施すこともある。
(3) 耐候性鋼材を用いた橋の連結ボルトは、主要構造物と同等以上の耐候性能を有する高力ボルトを使用する。
(4) 無塗装橋梁の鋼材表面は、仮組立完了後に原板ブラストを行い、黒皮を完全に除去するのを原則としている。
鋼橋における溶接部の検査に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 溶接割れの検査は、肉眼で行うのを原則とし、疑わしい場合には磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を用いるのがよい。
(2) 外観検査で、不合格となったスタッドジベルは全数ハンマー打撃による曲げ検査を行い、外観検査で合格したものは曲げ検査を行なわなくてもよい。
(3) 非破壊試験のうち、磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行う者は、それぞれの試験の種類に対応した資格を有していなければならない。
(4) 設計図書において特に仕上げの指定のない開先溶接の余盛は、ビート幅と余盛高さが規定範囲内であれば仕上げなくてもよい。
河川堤防の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 基礎地盤が軟弱な場合には、必要に応じて盛土を数次に区分けし、圧密による地盤の強度増加をはかりながら盛り立てるなどの対策を講じることが必要である。
(2) 堤体内に水を持ちやすい土の構造の場合は、ドレーンを川表側の法尻に設置しドレーンの排水機能により液状化層を減少させる効果がある。
(3) 基礎地盤表層部の土が乾燥している場合は、堤体盛土に先立って適度な散水を行い、地盤と堤体盛土の密着をよくする事が必要である。
(4) 基礎地盤に極端な凹凸や段差がある場合は、盛土に先がけて平坦にかきならしをしておくことが必要である。
砂防えん堤に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 土石流対策を目的とする不透過型砂防えん堤は、常に計画捕捉量に対応した空き容量を確保しておくことが望ましく、除石が容易なように搬出路が設置される場合がある。
(2) 掃流区間に設置された堰上げ型の透過型砂防えん堤は、平常時に土砂を流下させることが可能なため、土石流の捕捉だけでなく、渓床や山脚の固定にも適している。
(3) 土石流捕捉のための透過型砂防えん堤の設置位置は、斜面上方からの地すべり、雪崩などによって、えん堤の安定が損なわれないように、両岸の斜面が安定している地点を選定することが望ましい。
(4) 縦横侵食の防止を目的とする不透過型砂防えん堤は、侵食区間が長い場合には数基を階段状に設置するが、この場合、最下流のえん堤の基礎は岩盤であることが望ましい。
コンクリート構造物の劣化機構と劣化現象に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
(1) 化学的侵食は、骨材中に含まれる反応性シリカ鉱物がコンクリート中のアルカリ性水溶液と反応して、コンクリートが劣化する現象である。
(2) 塩害は、コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンにより促進され、コンクリートのひび割れやはく離、鋼材の断面減少を引き起こす劣化現象である。
(3) 凍害は、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すことによって、コンクリート表面からスケーリング、微細ひび割れ、ポップアウトなどの形で劣化する現象である。
(4) 中性化は、二酸化炭素がセメント水和物と炭酸化反応を起こし、鋼材の腐食が促進され、コンクリートのひび割れやはく離、鋼材の断面減少を引き起こす劣化現象である。