一級建築士の難易度・合格率|受験者の9割が落ちる試験を突破するには

目次

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「一級建築士の試験ってどのくらい難しいんだろう?」「どんな勉強をすれば合格できるのかな?」
一級建築士の資格取得を目指している方にとって、試験の難易度は気になるポイントですよね。


そこでこの記事では、一級建築士試験の合格率と、「何が難しいのか」「学科・設計製図の試験の対策はどうすればいいのか」を具体的にお伝えしていきます。
実際に一級建築士試験を受験された方からいただいたコメントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。


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一級建築士試験の合格率

一級建築士は、「学科の試験」と「設計製図の試験」の両方に合格することで取得できる資格です。ここでは、一級建築士試験の総合合格率と、「学科の試験」「設計製図の試験」それぞれの合格率をご紹介していきます。


一級建築士は合格率約10%の難しい試験

一級建築士試験について、平成30年~令和4年における総合合格率は以下の通りです。


※参考:公益財団法人 建築技術普及センター「一級建築士 試験結果」、国土交通省 報道発表資料「令和4年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定~3,473人の合格者、33.0%の合格率~


平成30年~令和4年における一級建築士の平均合格率は、10.90%です(合格者数÷実受験者数)。つまり一級建築士は、受験者の約9割が落ちてしまう、とても難易度の高い試験だと言えます。


とは言え、合格率は過去の数字にすぎません。試験の合否は、自分が頑張れるか・頑張れないかで決まります。一級建築士が難しい試験であることを理解した上で、「どんな対策をすればいいのか」「どのくらいの勉強時間が必要なのか」を明確にしていけば、合格はグッと近づくと思いますよ!


●一級建築士「学科の試験」の合格率

次に「学科の試験」のみを見ると、平成30年~令和4年における合格率は以下の通りです。


※参考:公益財団法人 建築技術普及センター「一級建築士 試験結果


一級建築士の「学科の試験」は、毎年約25,000~30,000人が受験しています。平成30年~令和4年における平均合格率は19.48%と低く、難易度の高い試験だと言えるでしょう。


一級建築士の資格を取得するには、まずこの「学科の試験」に合格することが必須条件です。この合格率を知った上で、試験までにどう対策していくかを考えておかなければいけませんね。


●一級建築士「設計製図の試験」の合格率

最後に、一級建築士の「設計製図の試験」のみを見ると、平成30年~令和4年における合格率は以下の通りです。


※参考:公益財団法人 建築技術普及センター「一級建築士 試験結果


一級建築士の「設計製図の試験」は、毎年約9,000~10,000人が受験しています。平成30年~令和4年における平均合格率は35.83%で、「学科の試験」に比べると合格率が高いことが分かります。


「設計製図の試験」は、試験日の約3ヶ月前に試験課題が公表されます。試験に向けた対策がしやすい分、合格率も高くなっていると考えられます。しかし、難関である「学科の試験」を突破した人でも半数以上が落ちてしまう試験なので、やはり「設計製図の試験」も難易度は高いと言えそうです。


一級建築士は「数年かけて取得する」資格

一級建築士の試験は、「学科の試験」「設計製図の試験」ともに、1年に1回のみの実施です。そのため、難関資格だと分かっていても、試験に「一発で合格したい」と意気込む方は多くいらっしゃると思います。


ですが、そう簡単には合格させてくれないのが一級建築士の試験です。第一段階である「学科の試験」に合格するだけでも、かなりの努力が必要になります。そのため、一級建築士の試験を初めて受験する場合、まずは「学科の試験」を突破することだけに注力しましょう。


「学科の試験」に合格すれば、もしその年の「設計製図の試験」に落ちてしまっても、翌年以降「学科の試験」が免除される仕組みがあります。以前は「学科の試験に合格した翌年から2年間は学科免除」という決まりでしたが、令和2年の合格者からは「学科の試験に合格した翌年から4年間のうち、2回分は学科免除」と改訂されました。


この改訂により、「学科の試験」に合格した後、「設計製図の試験」のために勉強できる期間が長くなりました。しっかり時間をかけて試験対策をすれば、きっと合格に近づけるはずです。一級建築士の資格取得で大事なのは「試験結果が不合格だったとしても、1回で諦めないこと」です!


★一級建築士の「学科試験の免除」については、こちらの記事もご覧ください!


★二級建築士の資格については、こちらの記事もご覧ください!


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一級建築士の資格試験、難易度が高い理由

ここまでは、過去の合格率のデータをもとに、一級建築士が難しい試験であることをご紹介してきました。
ここからは、一級建築士試験の「何が難しいのか」について解説していきます。


勉強のモチベーション維持の大変さ

まず1つめの要因として挙げられるのが、「試験本番までモチベーションを維持するのが大変」だということです。


一級建築士は、試験問題の難易度が高いため、試験勉強も長期間に渡る場合がほとんどです。独学に加えて、資格学校に通って勉強する方も多くいらっしゃいます。


資格学校やコースにもよりますが、長いものだと10ヶ月~12ヶ月間通うという講座もあります。その期間中は毎週欠かさず講座を受けなければならないのですが、資格学校に行くことが途中で面倒になってしまったり、課題をこなせず挫折してしまったり……という方も多いようです。


これは資格学校に通う時だけの話ではなく、自宅で試験勉強をする際も同じような事が言えます。建築士試験を受けたことがある方の中には、「試験に向けて半年前から勉強を始めようと思っていたのに、仕事で疲れて勉強に身が入らなかった」という方もたくさんいらっしゃるようです。

◎毎週、資格学校に通わないといけない面倒くささ
◎終業後や休日に勉強しなければいけないストレス
◎疲れや眠気との闘い

こういった辛さにどう立ち向かうかが、一級建築士の資格取得を目指す上での大きなポイントになってきます。


●「学科の試験」「設計製図の試験」までの勉強スケジュールを立てる

長期間の試験勉強を乗り越えるために、まずは「学科の試験」「設計製図の試験」当日までの勉強スケジュールを必ず立てましょう。
一級建築士試験は出題範囲が広いので、なるべく多くの勉強時間を確保するのが望ましいです。「仕事がある日は何時間勉強するか」「休日は何時から何時まで勉強するか」など、できるだけ具体的に決めておきましょう。


●日々の試験勉強の目標やゴールを設定する

スケジュールを立てて、いざ勉強を始めたら、日々の細かい目標やゴールを設定しましょう。
「一級建築士試験に合格する」という大きな目標ひとつだけだと、長期間の試験勉強でモチベーションを維持し続けるのは困難です。「今日はテキストのここまでを理解する」「今日は過去問を解いて●点以上をとる」といった小目標を立てて、達成できたら自分へのちょっとしたご褒美を用意しておくと、モチベーションを維持しやすいですよ。


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法改正などに伴う資格試験内容の変化

2つめの要因として挙げられるのが、「変化する試験内容に対応するのが大変」だということです。


ネット上で、「一級建築士の資格試験って、昔の方が簡単だったって本当ですか?」という質問を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際に、一級建築士の資格をもった50代後半~60代の方にお話をうかがってみたところ、今と昔の試験について、下記のような違いを教えてくださいました。

『自分たちの頃より試験の出題範囲が広がった』
『解答の選択肢が5択から4択に減って難しくなった』
『試験の合格基準点が昔より30点くらい上がった』

一級建築士試験の難易度が上がった背景には、建築基準法などの法改正が影響しています。例えば、2005年に起きた姉歯事件。構造計算書偽装問題で当時大きくメディアに取り上げられ、法改正も行われました。


こうした法改正に伴い、一級建築士の試験内容も変化しています。試験範囲が拡大したり、過去に出題されたことのないような問題が出題されたりする場合もあるので、それが難しさの一因になっていると考えられます。一級建築士の試験勉強を進める際は、できるだけ新しいテキストや参考書を使用し、特に法律面については最新の情報を確認するようにしましょう。


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一級建築士試験に合格した人の勉強法

次に、一級建築士合格に向けての勉強法や、気をつけたいポイントについてご紹介します。


一級建築士「学科の試験」・「設計製図の試験」の概要

繰り返しになりますが、一級建築士は「学科の試験」と「設計製図の試験」があり、その両方に合格してはじめて資格を取得することができます。一級建築士の試験の出題科目は、下記表の通りです。


試験の区分 出題形式 出題科目 出題数 試験時間
学科の試験 四肢択一式 学科I(計画) 20問 計2時間
学科II(環境・設備) 20問
学科III(法規) 30問 1時間45分
学科IV(構造) 30問 計2時間45分
学科V(施工) 25問
設計製図の試験 あらかじめ公表する課題の建築物についての設計図書の作成 設計製図 1課題 6時間30分

※参考:公益財団法人 建築技術普及センター「一級建築士 出題科目、出題数等


まずは学科の試験から。製図試験のことは忘れてOK

一級建築士の試験は、例年「学科の試験」が7月、「設計製図の試験」が10月に行われます。「学科の試験」に合格しないと「設計製図の試験」は受験できないので、まずは「学科の試験」に合格することだけに集中して勉強を進めましょう。


「どのくらい前から勉強すればいいんだろう?」と悩む方もいらっしゃると思いますが、勉強期間はなるべく多く確保しておいた方が安心です。
過去に一級建築士試験を受験した方の中では、「約6ヶ月前から勉強を始めた」という方が多かったです。ただし、この6ヶ月間という期間は自宅で勉強する際の期間であり、自宅での勉強とは別に、資格学校にも通っている方が多いようです。


「学科の試験」は、出題範囲が広く問題数も多いので、十分に勉強期間を設けて対策することが必要です。問題の形式は、「正しいものはどれか」「最も不適切なものはどれか」といった四肢択一式です。こういった問題の場合は、過去問や問題集を繰り返し解いて、解答のパターンを覚える勉強法がオススメです!


一級建築士の試験勉強を始める上での心構え

【その1】 睡眠時間はしっかり取りましょう!

一級建築士の資格取得を目指す方の多くは、働きながら試験勉強を進めることになると思います。仕事を終え、自宅に帰ってから勉強を始めることが多いと思いますが、ムリせず睡眠はしっかり取りましょう。


睡眠不足の状態で勉強すると、学んだ内容が定着せず、余計に時間が掛かってしまう場合があります。残業で帰りが遅くなった日は早く寝て、遅れた分の勉強は休日で取り返すなど、自分の体力と相談しながら試験勉強を進めていきましょう。


【その2】資格学校選びは慎重に行いましょう!

一級建築士の試験対策講座を行っている資格学校はいくつかあります。受講期間・受講料金・受講方法など、プランによって受講内容が異なるので、自分に合った講座選びを慎重に行いましょう。


プランは、受講料が数十万円のものから100万円を超えるものまで様々です。財布と相談しつつ、受講者の口コミなども参考にして選ぶことをおすすめします。


【その3】すきま時間はアプリを使って試験勉強しましょう!

通勤時や仕事の休憩中など、すきま時間にはスマホやタブレットのアプリで勉強しましょう。片手で問題がサクサク解けるので、いちいち重たいテキストを持ち歩く必要もありません。


無料のものから有料のものまで様々な種類があるので、色々試して自分に合ったものを見つけるのが良いでしょう。空いた時間に過去問を解くことを毎日の習慣にすれば、試験合格がきっと近づくはずです!


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一級建築士の資格を取得して良かったこと

最後に、一級建築士の資格保有者にうかがった「一級建築士の資格を取得して良かったこと」をご紹介します。 一級建築士の資格取得を考えている方にとって、プラスになる部分も多いと思いますので、ぜひご覧になってみてください。


【Aさん(30代・男性)の場合】

正直に嬉しかったことを言うと、一級建築士の資格を取得してから、周りに褒められる機会が多くなったことですね。お客さんに「一級建築士さんってやっぱりすごいですね!」と言ってもらえると、単純に嬉しいです。


会社によりけりですが、自分の場合は、一級建築士の資格を取って転職したことで年収も結構上がったので、良いことばっかりです。資格を取るまで5年かかりましたが、頑張って良かったなと思っています。


【Bさん(50代・男性)の場合】

建築士の資格はあくまで肩書きであって、持っているだけじゃ意味がない。建築の経験、現場管理の経験が無いと実際の仕事はやっていけないですよ。とはいえ、自分はこの仕事で食っているので、一級建築士の資格は取得して良かったと思います。


【Cさん(30代・男性)の場合】

やっとの思いで取れました。会社に今まで「資格を取れ」と散々言われてきて、何回も試験にチャレンジしてきてやっと。これで上司にうるさく言われることは無いと思うと、「よくここまで頑張ったな、俺」って自分で自分を褒めたいです。これからは一級建築士として、大好きな現場で思う存分、経験を積みます!


【Dさん(40代・女性)の場合】

苦労して6回目の試験で合格しました。これでやっと、自分の夢へ1歩近づけたのかなと思います。今の会社でもう少し経験を積んだら独立しようと考えているので、一級建築士の資格を活かせることが本当にうれしいです。


★一級建築士について、こちらの記事もあわせてご覧ください!


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まとめ:一級建築士は試験の難易度が高いが、強力な武器になる資格!

今回は、一級建築士試験の合格率や勉強法などについてお伝えしてきました。


一級建築士は合格率が低く、難易度の高い資格です。しかし、それでも諦めずに努力して取得すれば、建設業界で働く上で、きっとあなたの強力な武器になるはずです。

この記事が、一級建築士の資格取得を目指している方のお役に立てば幸いです。


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