令和元年 一級建築士
第10回
【学科V(施工)】
次の各問いには、4通りの答えが書いてある。
それぞれの問いに対して答えを1つ選びなさい。
鉄骨工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) 高力ボルト接合の摩擦面については、ショットブラストにより表面粗度を50μmRz以上確保できていたので、摩擦面に赤錆を発錆させないことを承認した。
(2) 組立溶接において、鋼材の板厚が6mmを超えていたので、ショートビードとならないように、組立溶接の最小溶接長さが30mmを基準としていることを確認した。
(3) 特記により、高力ボルト孔の孔あけ加工をレーザ孔あけとしたので、溶損部を含む孔径の精度を±0.5mmとしていることを確認した。
(4) ねじの呼びM22のトルシア形高力ボルトにおいて、ボルトの長さについては締付け長さに35mmを加えたものを標準長さとし、標準長さに最も近い寸法のボルトが使用されていることを確認した。
金属工事及びガラス工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) 軽量鉄骨壁下地工事において、床ランナー下端から1.2mごとに設ける振れ止めを電気配管の敷設により切断せざるを得なかったので、切断する箇所を振れ止めと同材又は吊りボルト(外径9.0mm)で補強する計画であることを確認した。
(2) 軽量鉄骨天井下地工事において、天井面に下がり壁による段違いがあったので、野縁受と同材又は山形鋼(∟‒30×30×3(mm))を補強材に用いて、3.6m程度の間隔で斜め補強されていることを確認した。
(3) 屋外に設置する鋼製の手摺において、温度差40℃の場合の部材伸縮の目安を1m当たり0.5mmとして、伸縮調整部が5~10mごとに設けられていることを確認した。
(4) 屋外に面する建具に合わせガラスを使用するに当たり、建具のガラス溝内に雨水が浸入した場合に雨水を排水するため、建具下枠のガラス溝に設ける水抜き孔の直径が6mm以上となっていることを確認した。
各種工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) 施工中における建具の伴については、コンストラクションキーシステムを用いたので、施工完了後に、シリンダーは取り替えずに工事用の伴から本設用の伴に切り替え、不用となった工事用の伴が回収されていることを確認した。
(2) 屋上緑化システムを採用した屋根に設けるルーフドレンについては、その口径が目詰まりを考慮して余裕のある管径になっていることを確認したうえで、1排水面積に対して2箇所以上設置されていることを確認した。
(3) 軽量鉄骨天井下地工事において、照明器具の設置に当たり、野縁及び野縁受をやむを得ず切断しなければならなかったので、溶断することを承認した。
(4) 内装工事において、タイルカーペットをフリーアクセスフロア(高さ調整式)に敷設するに当たり、フリーアクセスフロアの床パネルの段違いや隙間が0.5mm以下に調整されていることを確認した。
石張り工事、タイル工事及び左官工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) 石張り工事における外壁乾式工法において、止水のために石材間の目地をシーリング材で充塡するに当たり、特記がなかったので、シーリング材の目地寸法が幅、深さともに5mm以上となっていることを確認した。
(2) 床を石張りとする部分の面積が広く、特記がなかったので、床面積30m²程度ごと及び石材と他の仕上材とが取り合う箇所に、伸縮調整目地が設けられていることを確認した。
(3) セメントモルタルによる陶磁器質タイル張り工事における壁タイルの密着張りにおいて、タイル剥離防止のため、タイルの化粧目地の深さが、タイルの厚さの 1 2 以下となっていることを確認した。
(4) コンクリート外壁面へのタイル張りの下地モルタル塗りにおいて、タイルの伸縮調整目地に合わせて、幅10mm以上の伸縮調整目地が発泡合成樹脂板で設けられていることを確認した。
建築工事に関する用語・試験機器とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1)
用語・試験機器:腹起し
用語・試験機器の説明:山留め壁に作用する側圧を切ばり又は地盤アンカーに伝えるための水平部材(2)
用語・試験機器:スランプフロー
用語・試験機器の説明:スランプコーンを引き上げた後の試料の広がりを直径で表したフレッシュコンクリートの流動性を示す指標(3)
用語・試験機器:エンドタブ
用語・試験機器の説明:鋼材の溶接において、アークの始端部や終端部が欠陥となりやすいため、溶接ビードの始点と終点に取り付ける補助板(4)
用語・試験機器:タッピングマシン
用語・試験機器の説明:子供の飛び跳ねや走り回り等の比較的重く柔らかい衝撃が加わったときの床衝撃音の遮断性能を調査するための床衝撃音発生器
設備工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) 昇降機設備工事において、乗用エレベーターの昇降路内に、エレベーターに必要な配管設備を設けることとなっていたので、その配管設備が地震時においてエレベーターの籠(かご)又は釣合おもりに触れるおそれのないことを確認した。
(2) 非常用の照明装置の電気配線は、他の電気回路(電源又は誘導灯に接続する部分を除く。)に接続されず、かつ、非常用の照明装置の電気配線の途中に一般の者が、容易に電源を遮断することのできる開閉器が設けられていないことを確認した。
(3) 配管の埋設工事において、給水管と排水管とを平行して埋設する部分については、給水管を排水管の上方に埋設し、両配管の水平実間隔が300mm程度確保されていることを確認した。
(4) 共同住宅の居室に設ける自然換気設備の給気口については、居室の天井の高さの 1 2 以下の高さの位置に設けられ、常時外気に開放されている構造となっていることを確認した。
防水工事等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 合成高分子系シート防水工事において、防水層の下地の入隅については直角とし、出隅については45度の面取りとした。
(2) アスファルト防水工事において、アスファルトプライマーを刷毛でむらなく均一となるよう塗布し、30~60分程度の経過後、一層目のアスファルトルーフィングを張り付けた。
(3) 共同住宅において、現場打ち鉄筋コンクリートのバルコニーを塗膜防水としたので、防水層の塗膜防水材をウレタンゴム系とし、その仕上げを軽歩行用仕上塗料とした。
(4) 屋上緑化システム工事において、防水層に植物の根が直接触れないようにするために、耐根層を防水層直上部に設けた。
建築物の工事請負契約又は監理業務委託契約に関する次の記述のうち、民間(旧四会)連合協定「工事請負契約約款」又は四会連合協定「建築設計・監理等業務委託契約約款」に照らして、最も不適当なものはどれか。
(1) 工事請負契約において、工事中に本契約の目的物の一部を発注者が使用する場合につき、法令に基づいて必要となる手続きは、発注者から手続きを委託された場合は監理者が行い、受注者は、これに協力するとともに手続きに要する費用を負担する。
(2) 工事請負契約において、発注者は、監理者の意見に基づいて、受注者の現場代理人、監理技術者又は主任技術者、専門技術者及び従業員並びに下請負者及びその作業員のうちに、工事の施工又は管理について著しく適当でないと認められる者があるときは、受注者に対して、その理由を明示した書面をもって、必要な措置をとることを求めることができる。
(3) 監理業務委託契約において、受託者は、本契約に定めがある場合、又は委託者の請求があるときは、監理業務の進捗状況について、委託者に説明・報告しなければならない。
(4) 監理業務委託契約において、建築設計・監理等業務委託契約約款の規定により履行期間又は業務委託書の内容が変更された場合において、委託者は、必要があると認めるときは、受託者に対して、監理業務方針の再説明を請求することができる。
鉄骨工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 溶接部の清掃において、母材の溶接面について付着物の確認を行ったところ、固着したミルスケールがあったが、溶接に支障とならなかったので、除去しなかった。
(2) 工事現場において、H形鋼の梁と柱との接合に当たり、梁ウェブを高力ボルト接合とし梁フランジを溶接接合とする混用継手で、梁せいや梁フランジ厚が大きくなく、溶接部に割れ等の欠陥が生じるおそれがないと判断し、高力ボルトを締め付けた後に溶接を行った。
(3) 溶融亜鉛めっきを施した鉄骨の接合部の摩擦面については、すべり係数が0.40以上確保することができるように、特記がなかったので、りん酸塩処理を行った。
(4) 鉄骨の製作精度の管理において、特記がなかったので、鉄骨精度検査基準((一社)日本建築学会「建築工事標準仕様書 鉄骨工事 付則6」)に従い、柱の長さについては、10m未満であったので、柱の長さの管理許容差を±5mmとした。
内外装工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) コンクリート下地への塗装工事において、素地調整を行うことができる乾燥期間を、冬期であったので、コンクリートの材齢が14日確保されていることを確認した。
(2) 下地面がコンクリートとなる「せっこうボードのせっこう系直張り用接着材による直張り工法」において、張付け時の室温が5℃以下となる寒冷期に、やむを得ず施工しなければならなかったので、採暖等の養生を行い、室温が10℃以上に保たれていることを確認した。
(3) 押出成形セメント板を用いる外壁工事において、横張り工法により取り付けたフラットパネル(働き幅600mm、厚さ60mmの標準パネル)については、構造体に固定した下地鋼材に取り付け、パネル枚数3枚以下ごとに自重受け金物で受けていることを確認した。
(4) 外壁のセメントモルタルによる陶磁器質タイル(セラミックタイル)後張りにおける引張接着強度検査については、引張接着強度が0.4N/mm²以上で、かつ、コンクリート下地の接着界面における破壊率が50%以下のものを合格とした。
木工事に関する記述において、監理者が一般に行うものとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
(1) 最下階の床が木造の床組の建築物において、床下をコンクリートで覆わなかったので、ねこ土台を用い、外周部の土台の全周にわたって、1m当たり有効面積75cm²以上の換気孔が設けられていることを確認した。
(2) 鉄筋コンクリート造の建築物において、建具枠や間仕切壁下地を留め付けるための「木れんが」については、樹種がヒノキで、「木れんが用接着剤」によりコンクリート面に張り付けられていることを確認した。
(3) 軸組工法による木造の建築物における構造用合板等の面材を併用しない耐力壁において、壁倍率2.0に適合させるために30mm×90mmの木材を片筋かいとし、その端部がプレートBP‒2により緊結されていることを確認した。
(4) 鉄筋コンクリート造の建築物の内部仕上げの下地を木工事とするに当たり、床組の土台の取付けに使用するアンカーボルトは、位置や埋込み深さが不正確とならないことを重視して、「あと施工アンカー」が適切に使用されていることを確認した。
各種改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 既存のアスファルト防水の改修工事において、既存防水層を非撤去とすることとしたので、立上り部及びルーフドレン回りの防水層についても非撤去とした。
(2) 既存のウレタンゴム系塗膜防水を撤去せず、新規にウレタンゴム系塗膜防水を施す改修工事において、既存防水層の膨れ部分については、カッターナイフで切除し、ポリマーセメントモルタルで平坦に仕上げた。
(3) 既存のモルタル塗り仕上げ外壁の仕上塗材の改修工事において、既存塗膜の劣化部の除去を高圧水洗工法で行うに当たり、その処理範囲については、特記がなかったので、既存仕上げ面全体とした。
(4) コンクリート打放し仕上げ外壁の改修工事において、鉄筋が露出していない比較的浅い欠損部であったので、ポリマーセメントモルタル充塡工法を採用して補修した。
鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 現場打ち鉄筋コンクリート壁の増設工事において、壁厚が厚い複配筋の既存開口壁を鉄筋コンクリートにより閉塞するに当たり、開口周囲に埋め込む「あと施工アンカー」の埋込み長さについては、特記がなかったので、10da(da:アンカー筋径)とした。
(2) 枠付き鉄骨ブレースの設置工事において、鉄骨枠と既存躯体との間にグラウト材(無収縮モルタル)を圧入したところ、圧入したグラウト材と既存躯体との間に3mmの隙間ができてしまったので、その隙間にエポキシ系樹脂を圧入した。
(3) 鋼板巻き工法による柱補強工事において、二分割した鋼板を現場で一体化するに当たり、鋼板の厚さが6mmであったので、突合せ溶接とした。
(4) 溶接金網巻き工法による柱補強工事において、溶接金網の継手を重ね継手とするに当たり、溶接金網の縦筋の間隔が100mmであったので、その継手長さを200mmとした。