夏のおでかけは海と山よりダム!?観光が楽しくなるダム知識も紹介!
今年もいよいよ夏本番ですね!みなさん、祝日や夏休みの予定はもう決まっていますか?
夏のおでかけ先と言えば、海と山が定番ですよね。
ですが、家族や友人グループで行き先を決めるときに、「海か山か」で論争が勃発した経験のある方もいるのではないでしょうか。
そんなときおすすめしたい場所、それは「ダム」です!
今回は、永遠のテーマとも思われてきた「海と山の戦い」に終止符を打つかもしれない、夏のダムの魅力と、観光の前に知っておくともっと楽しめるダムの基礎知識をご紹介します!
ぜひ最後まで読んで、夏の計画の参考にしてみてくださいね!
「海と山どっち?」夏のおでかけ永遠のテーマ
夏の永遠のテーマとなっている、海派さんと山派さんの論争。
意見が割れてしまうのは、海と山それぞれに行きたいと感じる理由と、行きたくないと感じる理由があるからです。
以下で、海派さんと山派さんのそれぞれの主張を見てみましょう。
海派の主張
◎海を選ぶ理由
・広い水面を見ると癒されるから
・海水浴や水上アクティビティが楽しいから
・写真映えするから
△逆に、山を選ばない理由
・登山は虫が多いイメージだから
・体力に自信がないから
・トイレが近くにないから
・持ち物や装備などの準備が大変そうだから
海を選ぶ人は、ひらけた景色と、アクティビティも楽しめる点に惹かれるようです。
また、大自然の中だからこその不便さや、虫の多さが、海派の人を山から遠ざけていると言えます。
山派の主張
◎山を選ぶ理由
・全身に緑を感じて癒されるから
・空気がおいしいから
・標高が高く木陰もあり、涼しいから
△逆に、海を選ばない理由
・海水や海風がべたべたするから
・日焼けするから
・着替えが面倒だから
・水着が苦手だから
山を選ぶ人は、涼しくて、緑やきれいな空気に癒される点に惹かれているようです。
また、潮による髪や肌の不快感、着替えなどの面倒さが、山派の人を海から遠ざけていると言えます。
「ダム」は海と山のいいとこ取りできる!?
このように、長年夏の定番となっている「海か山か」論争ですが、なんと、この論争に終止符を打つかもしれないおすすめの場所があるんです。
そんな海と山の両方のいいとこどりをした観光スポット、それは「ダム」です!
宮ヶ瀬(みやがせ)湖(宮ヶ瀬ダム貯水池)
と言っても、「ダムって、あの山奥で水が溜まっているところでしょ…?」と怪訝に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。それもそのはず、知っての通り、ダムはもともと観光のための施設ではありません。
しかし近年、ダムは夏のおでかけにピッタリな観光スポットとして、どんどん進化しているんです!ここでは、夏のおでかけにダムがおすすめな理由を、大きく2つに分けてご紹介します。
ダムがおすすめな理由1:普段着で行ける癒しスポットだから
夏のおでかけにダムがおすすめな理由一つ目は、ダムは普段着で行ける癒しスポットだからです。
ご存知の通り、ダムは山あいにある場合が多いため、山のいいところである「涼しくて、きれいな空気に癒される」を兼ね備えています。
その一方で、ダムは人間がつくった設備であり、人の手で常に管理されているので、以下のとおり海派の人が感じている山の懸念点(△)が、かなり改善(◎)されています。
・△虫が苦手 → ◎ダム周辺は森の中よりは虫が少ない
・△体力に自信がない → ◎車で行けるので体力がなくても大丈夫
・△トイレが近くにない → ◎資料館のトイレや公衆トイレなどを利用できる場合が多い
・△準備が大変そう → ◎特別な装備は必要なく、普段着で行ける
このようにダムは、山派の人が魅力に感じるポイントを残しつつ、海派の人でも気軽に行ける癒しスポットなんです!
ダムがおすすめな理由2:アクティビティが充実しているから
夏のおでかけにダムがおすすめな理由二つ目は、ダムはアクティビティが充実しているレジャースポットだからです。
ダムは本来、私たちの暮らしや経済活動を支え、守るためにつくられた、インフラ施設です。従来のダムのアクティビティと言えば、小学生のころ社会科見学で行った人も多い「見学ツアー」なのではないでしょうか。
ところが今は、海にも負けないほどの様々なアクティビティが楽しめるダムが増えているんです!
●遊覧船・水陸両用バス
湯西川ダム 水陸両用バス
※出典:国土交通省総合政策局公共事業企画調整課 インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト 全国のインフラ施設 湯西川ダム
まず、普段着でも楽しめるものでは、「遊覧船」や「水陸両用バス」があります。涼しい風を感じながら、山の深い緑とダム湖のキラキラした水面を眺めれば、リフレッシュできること間違いなしですね。
●カヤック体験・スタンドアップパドル体験など
宇奈月ダム ボートクルーズ
※出典:国土交通省総合政策局公共事業企画調整課 インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト 全国のインフラ施設 宇奈月ダム
また「夏だし、せっかくなら水に入りたい!」という人には、ダム湖で楽しむ「カヤック体験」や「スタンドアップパドル体験」などがおすすめです。海よりも波が穏やかなので、初心者でもゆったり楽しめますよ。
●ダムのライトアップ・観光放流
浅瀬石川ダム ライトアップ
※出典:国土交通省東北地方整備局岩木川ダム統合管理事務所「 夏の夜の無限に広がるキャンバスを彩る“幻想空間”!!」
さらにイベントとして、ダムの「ライトアップ」や「観光放流」を行っている日もあります。
巨大でただでさえ荘厳なダムですが、幻想的に照らされた姿や、間近で大量の水を吐き出す大迫力の姿は、思わず写真に収めたくなってしまう光景です!
このように、海のいいところである「ひらけた景色と、アクティビティも楽しめる」という点を兼ね備えたダムが、各地に存在しています。
その上で、山派の人が感じている海の懸念点(△)も、かなり克服(◎)しています。
・△海水や海風がべたべたする → ◎淡水なのでべたべたしない
・△日焼けする → ◎海よりは日陰が多い
・△着替えが面倒 → ◎普段着で大丈夫
・△水着が苦手 → ◎水に入る場合だけウェットスーツを着用
つまりダムは、海派の人も大満足のワクワクがありつつ、山派の人も安心して楽しめるレジャースポットでもあるんです!
※参考:国土交通省 水管理・国土保全局 水資源部「第2回 新たな担い手等による今後の水源地域振興のあり方に関する検討会 配付資料」のうち「資料-4_宮島委員「ダムなどの水源地を使った地域振興の現状」
せっかく行くなら知りたい!ダムの基礎知識
ここまで読んでくださった海派さん・山派さんの中には、「この夏ダムに行ってみたいかも!」と思ってくれた方もいるのではないでしょうか。
そこでそんな方のために、せっかく行くなら知っておきたい、ダムの基礎知識をまとめました。
ぜひ遊びに行く前に読んで、ダム観光をもっと楽しんでくださいね!
ダムの役割とつくりをカンタンに解説!
そもそもダムとは、河川の水を貯留または取水するために設ける、構造物のことです。
河川法では、基礎地盤からダム頂上部までの高さが15m以上のものをダムと呼ぶ、と定義されています。これより低いものは「堰(せき)」などと呼ばれます。
ちなみに、よく「ダム」と呼ばれている水が溜まっている部分(貯水池)ですが、正確にはダムの本体ではありません!ダム本体は、水をせき止めている壁のような大きい構造物の部分なんです。
●ダムの役割は?
ダムは、飲み水や生活用水をためて供給してくれる施設、という印象が強いですが、それはダムの役割のごく一部分にすぎません。
ダムの役割は、大きく分けると4つもあります。
1.洪水調節
2.流水の正常な機能の維持
3.農業・上水道・工業用水の確保
4.発電
1と2のように、洪水を防いだり、水を利用しやすくしたりする役割を持つダムは「治水(ちすい)ダム」、3と4のように、水をうまく利用するための役割を持つダムは「利水(りすい)ダム」と呼ばれます。
治水と利水どちらの役割も持つダムも多くあり、そんなダムは「多目的ダム」と呼ばれています。
※参考:(独)水資源機構 広報誌 水とともに 『「ダム」のはたらき(2016年07・08月号)』
●ダムの種類
ダムは、その材料によって、「コンクリートダム」と「フィルダム」の2種類に分けられます。
コンクリートダムはコンクリートからつくられており、フィルダムは岩石や土からつくられます。それぞれ形状によって、さらに種類が分かれます。
【コンクリートダム】
「重力式」「アーチ式」「中空重力式」など
【フィルダム】
「ゾーン型」「均一型」「表面遮水型」など
※画像出典:北海道開発局 夕張川ダム総合管理事務所 ダムについて「ダムにはどんな種類があるの?」
また、コンクリートダムとフィルダムを組み合わせた「複合ダム(コンバインダム)」もあります。
ダムは巨大な人工物!人の手で守っています
ダム周辺に遊びに行くと自然が豊かなので、あたかも自然の産物のように感じられますが、ダムは巨大で精巧な人工物です。この巨大なダムを私たちが安心して使えているのは、ダムをつくり上げ、その後も常に管理してくれている人たちがいるからです。
ダムができるまでには、地形や環境などの様々な調査から始まり、計画・工事・維持管理に至るまで、とてもたくさんの技術者が関わり、長い時間にわたって工事・管理していきます。
その中でもダムの建設工事は、超巨大プロジェクトであるため、なんと通常10~20年の月日がかかると言われています!
そんな大きなダムの大きな建設現場を支えているのは、「施工管理」「現場監督」という職業の人たちです。
「施工管理」「現場監督」は、簡単に言うと、建設現場を管理する取りまとめ役です。
工事全体がスムーズに進むよう指示を出したり、工程・品質・原価・安全などの、あらゆる面から現場を支えます。
「施工管理」や「現場監督」として現場をひっぱったダムがついに完成した日には、完成したダムよりもっと大きな達成感を感じられるかもしれませんね!
★ダムをつくる・支える仕事が少し気になった方は、こちらも読んでみてください!
今年の夏は、ダム観光へ行ってみよう!
今回は、夏のおでかけの新定番にダムがおすすめな理由とその魅力、そして、知ればもっと面白くなるダムの基礎知識についてもご紹介しました。
これまではインフラとしてのイメージだけが強かったダムですが、最近は海と山どちらの魅力も兼ね備えた、夏にピッタリのおでかけスポットに進化していました!
この夏は、海派さんも山派さんも一緒に、ダムで思いっきり楽しんでみませんか?
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