建設キャリアアップシステム(CCUS)のデメリットは改善される?
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こんにちは、建設業に特化した転職エージェント「施工管理求人.com」です。
建設キャリアアップシステムの運用開始からおよそ3年。一気に普及がすすんできました。
この記事にたどり着いた方は、建設キャリアアップシステムにデメリット(不便や不利益)を感じたことがあったり、「建設キャリアアップシステムは今後どうなっていくの?」と気になっていたりすると思います。
今回はそんな方に向けて、建設キャリアアップシステムの主なデメリットとその改善に向けた動き、そして今後の展望をご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
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建設キャリアアップシステムのデメリットは3つ
建設キャリアアップシステムを利用する技能者・事業者にとって、主なデメリットとなっているのは以下の3つです。
ひとつずつ説明していきます。
デメリット1:登録が面倒
そもそも技能者登録・事業者登録をするのが面倒だ、という意見が根強くあるようです。
認定機関に出向く必要がないインターネット申請もありますが、読まなければいけないガイダンスはかなりの分量があり、申請手順も多いです(インターネット申請ガイダンス)。
さらにコールセンターが廃止されてしまったため、登録申請でつまずいた場合は建設キャリアアップシステムのFAQ(よくあるご質問)で探すか、回答まで1週間程度かかるお問い合わせフォームから問い合わせる必要があります。
元請業者や上位の下請業者に「代行申請」を依頼する方法もありますが、依頼される側の事業者からも「下請業者や技能者の登録に手間がかかり、負担」との声があがっています。
★登録申請方法についてはこちらの記事をご確認ください!
デメリット2:お金がかかる
建設キャリアアップシステムの利用にはお金がかかります。
具体的には、技能者登録料が10年ごと、事業者登録料が5年ごと、管理者ID使用料は毎年発生します。元請業者はさらに現場利用料、そしてカードリーダー設置のための費用も支払う必要があります。
各段階でお金がかかる仕組みになっているため、合計すると大きな額になります。2020年には料金が値上げされ、当初よりさらに利用者の負担が大きくなっています。
★利用料金についてはこちらの記事をご確認ください!
デメリット3:使い方が分かりにくい
建設キャリアアップシステムについて(一社)全国中小建設業協会が行ったアンケートによると、「システム習得が困難で使いにくい」との回答が67%にのぼったという結果が出ています。
参考:全中建/CCUSモデル現場調査で中間報告/2割がカードリーダー未設置. 日刊建設工業新聞. 2020-12-03, 日刊建設工業新聞オンライン, https://www.decn.co.jp/?p=117525, (参照2022-02-01).
これは「建設キャリアアップシステム登録」というハードルを越えても、その先に「使い方の理解」というさらに高いハードルがあることを示しています。
建設キャリアアップシステムでは現場運用マニュアルが公開されていますが、膨大な量であり、事業者向けにいたっては9分冊となっています。マニュアルを開いたもののどこから読めばよいか分からず、愕然とした人も多いのではないでしょうか。
使い方が分からなければ用途がないため、導入による負担に目が向いてしまいます。
デメリットは少しずつ改善されている
ここまで建設キャリアアップシステムのデメリットについて説明してきましたが、現在は改善に向けてシステムや制度の整備が少しずつ進んでいます。以下、その取り組みをご紹介します。
代行申請の仕組みが改善
建設キャリアアップシステム登録のインターネット申請の方法は、技能者の登録・事業者の登録とも、2パターンに分けられます。登録するもの自身が申請作業をする「技能者登録申請」「事業者登録申請」と、他者が登録するものに代わって申請作業をする「技能者代行申請」「事業者代行申請」です。
代行申請はこれまで、事業者に負担がかかる仕組みとなっていましたが、令和4年2月1日から制度が緩和され、少し状況が改善する見込みです。
●代行申請の仕組み
代行申請は建設キャリアアップシステムにログインして行う必要があるため、代行できるのはすでに建設キャリアアップシステムに登録(事業者IDを取得)している事業者に限られます。
この仕組みでは、依頼される側の事業者にとって代行申請は「手間がかかり、負担」となります。中小企業のシステム利用を進めるひとつの策として、この問題を解決する必要がありました。
【令和4年1月31日まで】
技能者代行申請ができるのは、その人が所属する事業者、もしくはその事業者に依頼された元請業者・上位下請業者などでした。事業者代行申請ができるのは、その事業者に依頼された元請業者・上位下請業者などでした。
代行申請に負担を感じる事業者は、行政書士に相談することができましたが、建設キャリアアップシステムへの登録は「建設現場に関係する建設会社等の関係者」に限定されていたため、行政書士はシステムに登録することができず、代行申請をすることができませんでした。
そのため、事業者にとって代行申請が負担の場合は、下図のような流れをとっていました。
【令和4年2月1日から】
行政書士が建設キャリアアップシステムに事業者登録できるようになりました。
これによって行政書士も自社のIDで代行申請をできるようになり、事業者の負担を少し軽減できるようになります(これまでのように代理での代行申請も引き続き可能です)。
参考: 建設キャリアアップシステム「行政書士のCCUS事業者登録が可能になりました 」「建設キャリアアップシステム通信(第33号:2022年1月)」 「インターネット申請ガイダンス」
助成制度の整備
建設キャリアアップシステムに使える政府の助成金があることをご存じですか?
「建設事業主等に対する助成金」のうち、建設キャリアアップシステム関連の助成金は主に以下の3種類です。
●人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)
助成対象は「中小建設事業主」です。
建設キャリアアップシステムに登録している技能者に技能実習を受講させた中小事業者が、支払い賃金の助成を受けられるという内容です。このコースは当初令和3年度までで終了予定でしたが、令和4年度まで延長されました。
●人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース)
助成対象は「建設事業主団体」です。
事業主団体(業界団体)が、技能者の評価や処遇を改善する制度などを、業界内に普及させるための助成金となっています。
建設事業主団体が、建設キャリアアップシステムの就業履歴登録に使用するカードリーダーを購入し、事業者に貸し出すことで、技能者・事業者は恩恵を受けられます。
●人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等普及促進コース(仮))
令和4年に新設予定の助成制度で、助成対象は「建設事業主団体」です。
建設事業主団体が、建設キャリアアップシステムの普及促進のために事業を実施した場合に助成されます。
助成対象の事業は、構成員である事業者に対して「技能者登録料の補助」や、「建設キャリアアップシステム登録の代行申請」、「カードリーダー購入」などを行うこととなっています。
技能者・事業者は、所属する事業主団体が行う取り組みに沿って恩恵を受けられます。
※なお、令和3年度末までの人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)は、令和4年の人材確保等支援助成金(建設キャリアアップシステム等普及促進コース(仮))新設に伴って廃止されます。
参考:国土交通書「建設事業主等に対する助成金(建設キャリアアップシステム(CCUS)関連)」
新設予定のコースは、建設キャリアアップシステムの活用を進めるために設けられるため、これまでよりさらに恩恵を受けやすい助成金となりそうです。
サポート体制の構築中
「建設キャリアアップシステムのデメリットは3つ」でもお話ししたように、登録や現場運用の方法が分かりにくいという意見が多く、サポート体制の充実が以前より求められています。
これについても現在、少しずつ整備が進められているところです。
●FAQ(よくあるご質問)がリニューアル
以前はFAQがあるというものの、あまり使いやすいものではありませんでした。ところが令和2年11月に大幅リニューアルがあり、かなり使いやすく進化しています。
特に便利なのは、単語でも文章でも検索できる検索機能です。
FAQは随時更新・追加されており、令和4年2月現在ではおよそ3,300にのぼる質問と回答の中から、ほしい答えを簡単に探すことができます。「代行申請の仕組みが改善」の内容に関係する質問回答も、制度改正の翌日には追加されていました。
これまであまりFAQ機能を使ってこなかったという方は、これを機にぜひ活用してみてください(建設キャリアアップシステム「FAQ(よくあるご質問)」)。
●CCUSサテライト説明会
建設キャリアアップシステム事業本部は、zoomを使ったサテライト説明会を無料で開催しています。この説明会ではシステムの概要と登録・運用方法についての説明を受けることができます。1回あたり2時間、毎月複数回の開催で、参加には予約が必須です。
この説明会のいいところは、説明のあとに質疑応答の時間が設けられているところです。FAQでは解決できない不明点があった場合、お問い合わせフォームでは回答までに時間がかかるうえ、文章ではうまく伝わらないこともあります。
システムの概要説明をしっかり受けたい人に加え、登録・運用についてどうしても口頭で質問したいことがある人にも、説明会はおすすめです(建設キャリアアップシステム「説明会・サポート」)。
●CCUS認定アドバイザー制度
令和3年、建設キャリアアップシステムの登録・運営をサポートする体制を強化するため、CCUSアドバイザー制度が始まりました。
「CCUS認定アドバイザー」とは、(一財)建設業振興基金の認定講習を受けて試験に合格し、建設キャリアアップシステムの登録・運用をサポートする専門的知識を認められた有資格者のことです。認定されたアドバイザーは建設キャリアアップシステムで公開されており、随時更新されています。
相談内容によっては費用が生じることもあるようですが、社内で悩んで時間を使うくらいであれば、まずは相談してみるのもよいのではないでしょうか(建設キャリアアップシステム「説明会・サポート」)。
課題も多いが、今後はさらに普及
建設キャリアアップシステムは、料金負担が多い、わかりづらいなど、まだ課題の多いシステムです。そのうえ、「登録数と利用を増やすためには、料金の値下げやシステムの改良が必要」で、「料金の値下げやシステムの改良のためには、登録数と利用が増えることが必要」というジレンマを抱えています。
とはいえ建設業が今後も存続していくためには、技能者を大切にしていて技術力のある会社が残るような健全な仕組みを、まさに今、業界全体で整えていく必要があります。
建設キャリアアップシステムの活用促進は、現在国が肝入りで進めており、令和5年に原則化されるという計画もあります。そのため今以上に普及して、当たり前に使われるようなシステムになるのは間違いないでしょう。
それと同時に、普及・活用促進のためには、システムや制度が改善されていかなければなりません。
令和3年の10~11月に行われた技能者アンケートでは、期待する声も多かった一方で、「技能者の登録方法を簡単にする」「登録サポートの充実」を求める声が非常に多くあがりました。
国および運営はこの結果をもとに対策をすると考えられることから、今後は技能者や事業者目線で使いやすいシステムに改良されていくことが期待されます。
参考:(一財)建設業振興基金「建設キャリアアップシステム 技能者アンケート結果」、(一社)日本建設業連合会「2023年度単年度黒字化の確実な実現に向けて -CCUS普及の新目標-」、国土交通省 【CCUSポータル】関係資料「建設キャリアアップシステムの利用状況」
まとめ
今回は、「建設キャリアアップシステムのデメリットは改善していくのか」、「今後どうなっていくのか」について解説しました。
現在は国も業界団体も建設キャリアアップシステム普及に力を入れているため、新しい制度や機能が次々にできています。これらをたくさん活用して大いに恩恵を受けるのが賢い選択と言えそうです。
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