ICT施工はメリットが大きい|デメリットもあるけど建設業を変える

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こんにちは、建設業に特化した転職エージェント「施工管理求人.com」です。


建設業ではいま、ICT施工が盛んに進められています。

国も業界団体も力を入れるだけあって、ICT施工の普及は建設業に大きなメリットをもたらします。そのためメリットに焦点があてられることが多いですが、もちろんデメリットもあります。


この記事ではそのデメリットと、それでもなお大きいメリットについて解説します。
ICT施工について理解することで、これまでより建設業がおもしろいものに見えてくるかもしれませんよ。


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ICT施工とは

ICT施工とは、建設工事において「ICTの全面的な活用」をすることです。
この「ICTの全面的な活用」は、国土交通省が進めているi-Construction(アイコンストラクション)の3大施策のひとつとなっています。


ICTは日本語で「情報通信技術」のことで、コンピュータやインターネットを使った情報のやり取りによって、人々の暮らしを豊かにする技術のことです。


測量・設計・施工・施工管理・納品といった建設工事のプロセス全体で、利用できるICTをどんどん使っていく、というのがICT施工です。


i-Construction(アイコンストラクション)とは

建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組みのことで、国土交通省が推進しています。そのための施策のうち、いち早く着手する3大施策を、「トップランナー施策」と名付けて掲げています。


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ICT施工にはデメリットもある

国土交通省によって強く推し進められており、メリットばかりのように思われるICT施工ですが、当然ながらデメリットもあります。


設備投資にお金がかかる

施工業者にとって最大のデメリットは、設備投資にお金がかかることです。


ICT施工をするためには測量機器・ソフトウェア・建設機械を新たに入手する必要があるうえ、従来使用していたものより高額になります。ハードの設備は借りることもできますが、その費用も従来機と比較すると高くなっています。

それにもかかわらず、採算が取れるかどうかは実際に工事が終わってみなければわかりません


1工事にかかる人件費や時間が削減できたり、ICT施工導入で受注が増える可能性があったりと、先行投資とも考えられますが、この初期費用の大きさがネックとなって導入を躊躇している企業も多いのが実情です。


これについては国土交通省も課題と認識しており、以下の補助金制度が設けられています。

●ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)

ICT建設機械や測量機器の導入などに活用できます。


全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

●サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)

ICT施工に対応したソフトウェアの導入に活用できます。


(一社)サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2021」、中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)令和3年度補正予算の概要


参考:国土交通省「i-Construction(ICT 施工)の導入に関する補助金等」、「ICT施工に利用できる可能性が高い補助金制度


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通信環境に左右される

工事の進捗が現場の通信環境に左右される点も、ICT施工のデメリットと言えます。


ICT施工で使用するツールには、ドローンやICT建設機械をはじめ、WEBカメラや現場間コミュニケーションツールなど、電波を利用して通信を行うものが多くあります。


しかし工事は山間部やトンネル、超高層ビルなど、電波が入らない・不安定な場所で行うことも多々あります。その場合はそもそもICT施工ができなかったり、精度が落ちて手間が増えてしまったりします。

これについて現在、現場で無線通信環境を構築する技術の開発などが進められています。


また、ICT施工で使用するドローンやICT建設機械などを動かすためには、その機械が今どこにいるかを知る必要があります。人工衛星(GNSS/GPS)から位置情報を取得する場合は、その受信状況も工事の進捗に影響を及ぼします。


例:ICT建設機械の位置情報取得方法

ICT建設機械の位置情報取得方法

出典:国土交通省「ICT建設機械による施工について

ICT建設機械は、人工衛星(GNSS/GPS)から受信するか、測量機器のトータルステーション(TS)を使って位置情報を取得します。


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新しい技能の習得が必要になる

ICT施工のために新たな技能の習得が必要なことも、デメリットとして挙げられます。


これまで人力で行っていた作業で、いずれICTが取って代わるものも多いと考えられます。そのかわり今後は、ICT施工用の機械やソフトウェアを扱う技能を持った人材が必要になります。

しかしながら、ただでさえ現場の人手が不足しており、人材育成に時間もお金もかけられないという企業もあります。


なお、ICT施工の技能習得には、以下の補助金制度を利用することができます。

●人材開発支援助成金 特定訓練コース

職業能力開発促進センターなどが実施している訓練や研修の受講に活用できます。


厚生労働省「人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース)


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それでもICT施工のメリットは大きい

ここまでお話ししたとおりデメリットもありますが、ICT施工が建設業界に与えるメリットはそれ以上に大きいものです。

以下3つのメリットはいずれも、建設業最大の課題である人手不足の解消につながります。


生産性が向上する

ICT施工を行うことで、現場の生産性がアップします。


丁張りなどの人工がかかる作業をカットできたり、施工の確認作業を効率化できたりするため、これまでと同じ人数・時間でこなせる工事量が増えます。また測量や施工が高精度化されるため、やり直し防止にもなります。


以下は、実際にICTを活用した施工者を対象に、国土交通省が行った調査の結果です。

ICT施工による作業時間縮減効果

出典:国土交通省「ICT施工の普及拡大に向けた取組


従来施工からICT施工に切り替えたことで、延べ作業時間を約3割縮減、起工測量・出来形計測を約5割縮減できました。


多様な人が力を発揮できる

ICT施工が進むと、これまでより多様な人が技能者として働きやすくなります。


従来のやり方では熟練の技術に頼っていた作業でも、ICTのサポートがあることで作業できる人が増えます。ICTを使うことで各作業にかかる時間や労力を削減できるため、長時間労働の改善につながります。


加えて、ICT施工では新たに情報処理や解析を担当する技能者が必要になるため、より多様な働き方を選べるようになります。


これによって、体力に自信がない人や長時間働くことが難しい子育て世代でも、技能者として働きやすくなります。働きやすさを重視する方は、「施工管理のホワイト企業の探し方は?|転職成功のポイントもご紹介!」の記事もおすすめです。


またこれまで、外国人技能者の育成には言葉のハードルがありましたが、ICTとして開発が進む現場用翻訳システムによって改善が期待されます。

さらに、感覚に頼らざるを得なかった作業がICT施工でシステム化されることによって、母国語のマニュアルを整備しやすくなるという点も、外国人の働きやすさにつながります。


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工事の安全性が高まる

ICTを活用することで、工事現場の安全性が高まります


例えば従来の施工では、建設機械が作業する近くで、同時に人も作業していることがよくありました。この作業員が機械の死角に入ってしまうと、激突される・巻き込まれるなどの事故が発生します。


ICT施工の場合、人が同時に作業をする必要がありません。また、作業が効率化されることにより、工期に間に合わせるための無理な並行作業も減らせるため、安全です。


ICT施工による安全性向上

出典:国土交通省 中部地方整備局「ICTの活用により建設機械との錯綜作業が約 66%減少し、安全性が向上!~ICT土工活用工事の安全性を検証~


一方で「モニタを見すぎてヒヤリハット」など、ICT施工ではこれまでとは違う危険要因が発生することも考えられます。これに対応するため、現在はAIで人や物を検知するシステムなどの開発も進められています。


ICT施工のメリット・デメリットが広く理解されて導入が進めば、人手不足が解消されて、安全で働きやすく魅力のある建設業になるでしょう。


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建設業は「今」おもしろい!

実は建設業の歴史上、機械化が中止されていた時代がありました。不況の時代です。
この時代では少しでも雇用を生み出すため、人ができる作業は機械を使わず、できるだけ人の仕事を増やしました。


今、建設業ではこの時代と逆のムーブメントが起きており、人手不足解消のためにICT施工などの技術革新が進められています。そしてこの技術革新は、人手不足解消だけでなく、今後の工事のやり方や建設業のあり方そのものを、これまでと変えていくと思われます。


つまり建設業はいま、ちょうどやり方やシステムの変革が起きようとしている、歴史的におもしろい時期なのです。


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