施工管理者と現場監督の違いとは?役割・年収・資格を徹底比較!
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建設現場における「施工管理者」と「現場監督」は混同されがちですが、実際には役割や業務内容、責任範囲が異なります。
施工管理者は工事全体を統括するマネジメント寄りの立場であるのに対し、現場監督はより現場に近い実務的な役割を担っています。
本記事では、施工管理者と現場監督の役割の違い、平均年収の差、必要な資格、共通して求められるスキルについて詳しく解説します。

建設業界でのキャリアを考える際の参考にしてください!
施工管理者と現場監督の役割・仕事内容の違い
施工現場では「施工管理者」と「現場監督」という役職がよく使われますが、それぞれの役割や仕事内容には違いがあります。
どちらも工事の進行において重要な役割がありますが、具体的な業務内容や責任範囲が異なります。
■施工管理者と現場監督の役割・仕事内容 比較表
比較項目 | 施工管理者 | 現場監督 |
---|---|---|
基本的な役割 | 工事全体の管理・統括 | 現場での直接的な指揮・監督 |
位置づけ | 管理・マネジメント寄り | 現場・実務寄り |
主な業務内容 |
|
|
対応相手 | 発注者、設計者、協力会社、現場監督 | 職人、作業員、施工管理者 |
業務スタイル | 書類作成、打ち合わせなどの事務作業も多い | 現場作業の指導が中心 |
責任範囲 | 工事全体の品質・工期・安全・コスト | 現場作業の品質・進捗・安全 |
必要なスキル | コミュニケーション能力、マネジメント力、専門知識、問題解決力、コスト管理能力 | 作業指導力、リーダーシップ、専門知識、現場対応力、安全管理能力 |

施工管理者と現場監督それぞれの役割・仕事内容を解説します。
施工管理者の役割・仕事内容
施工管理者は、建設工事の全体的な進行を管理する役割を担っています。
具体的な業務内容には、以下のようなものがあります。
■施工管理者の役割・仕事内容
- 工程管理
工事のスケジュールを作成し、計画通りに進むよう調整する - 品質管理
設計図や仕様書に基づき、適切な品質で施工されているかを確認する - 安全管理
現場の安全対策を徹底し、事故を防止するための指導を行う - 原価管理
工事費用を適正に管理し、予算内で工事を完了させる
施工管理者は、現場の職人や協力会社との調整を行いながら、工事全体をスムーズに進められるよう管理することが求められます。
また、発注者や設計者との連携も必要となるため、コミュニケーション能力も重要です。
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施工管理職の仕事内容については、「施工管理とはどんな仕事?|仕事内容・資格・やりがい・需要を解説!」で詳しく解説しています。
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現場監督の役割・仕事内容
現場監督は、施工管理者の指示のもとで、現場の指揮・監督を行う役割を担います。主な業務内容は以下の通りです。
■現場監督の役割・仕事内容
- 作業員の指導・管理
職人や作業員に具体的な作業指示を出し、円滑に工事を進める - 資材・機材の管理
必要な資材や機材を適切に手配し、現場での作業をスムーズに進める - 現場の安全管理
作業員が安全に作業できる環境を整えるための管理を行う - 工事の進捗確認
施工管理者と連携し、工事が計画通りに進んでいるかをチェックする
現場監督は、施工管理者よりも現場に密接に関わる仕事であり、職人や作業員とコミュニケーションを取りながら工事を進める役割を担っています。
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施工管理職の仕事内容については、「【現場監督の仕事内容】1日のスケジュールを確認!」で詳しく解説しています。
施工管理者と現場監督は密接に連携しながら、それぞれの役割を果たすことが重要です。

どちらも建設業界において重要な職種です。
それぞれの業務内容を理解することで、適切なキャリアを選択できるでしょう。
施工管理者と現場監督の平均年収はどれだけ違う?
施工管理者と現場監督の平均年収にはどれくらいの差があるのでしょうか?
どちらも建設現場において重要な役割を担う職種ですが、業務内容や責任範囲の違いにより、収入にも差が生じることがあります。
■施工管理者と現場監督の年収比較
職種 | 平均年収(目安) |
---|---|
施工管理者 | 500万~800万円 |
現場監督 | 400万~600万円 |
施工管理者の平均年収
施工管理者の平均年収は500万〜800万円程度とされています。
(施工管理求人.comの調査では、平均年収は600万円でした。)
ただし、年齢や経験年数、資格の有無、所属する企業の規模によって大きく異なります。
施工管理の年収は、以下の要因によって変動することが多いです。
- 経験年数
若手(20代)は300万円~500万円程度、ベテラン(40代~50代)になると700万円以上になることもある - 資格の有無
1級施工管理技士の資格を持っていると、高年収が期待できる - 勤務先の規模
大手ゼネコン(スーパーゼネコン)では年収が高く、中小企業ではやや低めになる傾向がある
また、残業代が給与に大きく影響する点も施工管理者の特徴です。
長時間労働が発生しやすい業界であるため、残業代により年収が大幅に上がるケースもあります。
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施工管理者の年収については、「【2025年】施工管理の平均年収は?年収アップの方法や事例、高年収の秘訣を解説!」でさらに詳しく解説しています。
現場監督の平均年収
現場監督の平均年収は約400万円~600万円程度とされています。
施工管理者と同様に、経験や資格によって年収は大きく変動します。
現場監督の年収を左右する主な要因は以下の通りです。
- 経験年数
未経験者や若手(20代)は300万円~450万円程度、ベテラン(40代~50代)では600万円以上になることも - 資格の有無
施工管理技士や各種技能講習の資格を持っていると昇給しやすい - 勤務先の規模
大手ゼネコンの下請けや中小企業では低め、大手企業に直接雇用されると高め
現場監督は、施工管理者ほど工程管理や書類作成の業務に時間を割くことが少なく、現場での指示や監督業務が中心になります。
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施工管理と比較される、現場監督の年収は「現場監督の年収は高い?低い?|平均年収や年収アップ方法を解説!」で詳しく解説しています。
施工管理者と現場監督を比較すると、施工管理者の方が平均年収がやや高い傾向にあります。特に、1級施工管理技士などの上位資格を取得し、大手企業で経験を積むことで、高収入を得やすくなります。
一方で、現場監督も経験を積めば十分に高年収を目指せる職業です。また、現場監督としての経験を活かして施工管理者へキャリアアップする道もあります。

建設業界で長く働く場合、資格の取得や経験の積み重ねが収入アップのカギとなるため、自身のキャリアプランに合わせた選択をすることが重要です。
施工管理者と現場監督に必要な資格は?
施工管理者と現場監督として働くためには、どのような資格が必要なのでしょうか?
建設業界では、資格が昇進や年収アップに大きく影響するため、事前に必要な資格を把握しておくことが重要です。
■施工管理者と現場監督に必要な資格
職種 | 必要な資格 | 取得メリット |
---|---|---|
施工管理者 | 1級施工管理技士、2級施工管理技士、建築士 | 大規模工事の管理、年収アップ、昇進に有利 |
現場監督 | 2級施工管理技士、職長・安全衛生責任者、各種技能講習 | 現場管理スキル向上、施工管理者へのキャリアアップ、作業主任者の配置 |
施工管理者に必要な資格
施工管理者として働くには、施工管理技士の資格が非常に重要です。
この資格を取得することで、施工管理業務を正式に担当できるようになり、キャリアアップや収入向上にも繋がります。
■施工管理者におすすめの資格
職種 | 必要な資格 | 取得メリット |
---|---|---|
1級施工管理技士 | 建設業の施工管理に必要な国家資格で、最上位資格 | 大規模工事の監理技術者になれる・年収アップ |
2級施工管理技士 | 1級よりも難易度が低く、小規模工事の管理が可能 | 実務経験が少なくても取得しやすい |
建築士(1級・2級) | 建築設計や監理業務を行うための資格 | 設計業務に関与できる・管理職への昇進が有利 |
特に「1級施工管理技士」は、施工管理者としてのキャリアアップに欠かせない資格です。
この資格を取得することで、大規模工事の責任者(監理技術者)になれるため、昇進や転職による年収アップも期待できます。
現場監督に必要な資格
現場監督は、特定の資格がなくても業務を担当できますが、資格があると昇進しやすく、年収アップにも繋がります。
特に、以下の資格を持っていると、より専門的な現場管理ができるようになります。
■現場監督におすすめの資格
職種 | 必要な資格 | 取得メリット |
---|---|---|
1級施工管理技士 | 施工管理者と同じく、大規模工事の管理ができる | より責任のある業務を担当できる |
2級施工管理技士 | 小規模工事の管理ができる | 施工管理者へのステップアップが可能 |
職長・安全衛生責任者教育 | 現場の安全管理を担当するための資格 | 作業員の安全管理スキルが向上する |
各種技能講習 |
|
作業主任者を配置しなければならない場合に活用できる |
「施工管理技士」の資格を取得すると、施工管理者へのキャリアチェンジも可能となります。
施工管理者と現場監督にとって、「施工管理技士」の資格は非常に重要です。特に1級施工管理技士を取得すれば、大規模工事の責任者となり、高収入を得られるチャンスが広がります。
また、現場監督として経験を積みながら、施工管理技士の資格を取得することで、施工管理者へのキャリアアップが可能です。建設業界での長期的なキャリアを考えるなら、早いうちから資格取得を目指すことが重要です。
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施工管理技士の資格については「施工管理の資格「施工管理技士」とは?種類・取り方・できることを解説」で詳しく解説しています。
また、建築士については 「一級建築士の難易度・合格率|受験者の9割が落ちる試験を突破するには」 「二級建築士の難易度・合格率|難関試験に合格した人の勉強法をご紹介!」 で詳しく解説しています。
共通して必要となるスキル
施工管理者と現場監督に共通して求められるスキルには、以下のようなものがあります。

これらのスキルを身につけることで、建設業界で長く活躍できる人材になることができます。
また、資格取得や経験を積むことで、さらにスキルアップし、キャリアの幅を広げることが可能です。
1. コミュニケーション能力
施工管理者や現場監督は、多くの関係者と連携を取りながら業務を進める必要があります。
関係者との円滑なやり取りが求められる場面が多いため、高いコミュニケーション能力が必要です。
■主な関係者
- 職人(作業員)
- 下請け業者
- クライアント(発注者)
- 設計者
- 近隣住民 など
適切な指示を出し、トラブルを未然に防ぐためにも、的確に伝える力と相手の意見を聞く力が重要となります。
2. 問題解決力
建設現場では、計画通りに進まないことも多々あります。
天候不良、資材の遅れ、予算の問題など、様々なトラブルが発生するため、迅速に問題を解決するスキルが必要です。
■問題解決のポイント
- 原因を的確に分析する
- 迅速に代替策を考える
- 各関係者と協力して解決策を実行する
施工管理者や現場監督には、冷静に状況を判断し、最適な対応を行うことが求められます。
3. スケジュール管理能力
工事の進行には、厳格なスケジュール管理が求められます。
施工管理者も現場監督も、工事が納期通りに完了するようにスケジュールを調整する能力が必要です。
■具体的なスケジュール管理のポイント
- 工程表を作成し、作業計画を立てる
- 遅れが発生した際のリカバリー策を考える
- 他の工事や業務と調整しながら最適な進行計画を作る
スケジュール管理が適切にできないと、工期遅延やコスト増加の原因となるため、スケジュールを徹底して管理するスキルが重要になります。
4. 安全管理能力
建設現場では、安全管理が最優先です。
施工管理者と現場監督のどちらも、現場の安全を確保するために、適切な安全対策を実施する必要があります。
■安全管理のポイント
- 作業員に対する安全教育の実施
- 現場の危険箇所を事前に把握し、対策を講じる
- 安全基準を遵守し、適切な保護具の着用を徹底させる
事故が発生すると、工期の遅延や責任問題に発展するため、事前のリスク管理と安全意識の徹底が不可欠です。
5. 建築・施工の専門知識
施工管理者と現場監督は、建築・土木・設備に関する専門知識を持っている必要があります。
設計図面を正しく理解し、工事の品質を確保するために、以下の知識が重要となります。
■必要な専門知識
- 建築基準法や労働安全衛生法などの法令知識
- 建築材料や施工技術に関する知識
- 施工図や設計図の読み取り能力
専門知識を持っていることで、適切な判断ができ、施工ミスやトラブルを未然に防ぐことができます。
6. IT・デジタルツールの活用スキル
近年、建設業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおり、ITツールを活用する機会が増えています。
施工管理者や現場監督も、デジタルツールを活用して業務を効率化するスキルが求められます。
■主なITツール
- CADソフト(設計図の作成・確認)
- 施工管理アプリ(現場の進捗管理)
- ドローン・3Dスキャナー(現場調査や測量)
- クラウドツール(書類のデジタル管理・共有)
ITを活用することで、業務の効率が向上し、生産性の向上やミスの削減に繋がります。
まとめ
本記事では、施工管理者と現場監督の違いについて解説しました。
■施工管理者と現場監督の主な違い
- 役割の違い
施工管理者は工事全体の管理・統括を担い、現場監督は現場での直接的な指揮・監督を行う - 年収の違い
施工管理者は500万〜800万円、現場監督は400万〜600万円が平均 - 必要資格の違い
両者とも施工管理技士が重要だが、現場監督は作業主任者などの実務的な資格も必要
どちらの職種も建設業界において重要な役割があります。
自分の適性や将来のキャリアプランをしっかり考え、どちらの道で行くのかを選択するようにしましょう。

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